東京駅の東海道線の時刻表を見ると22時00分発の「サンライズ瀬戸」がある。
この寝台特急は岡山駅まで「サンライズ出雲」と連結して走る。
サンライズ出雲はその後、連結を外して倉敷駅から伯備線に入って島根県の出雲市駅まで向かう。
サンライズ瀬戸は岡山駅から瀬戸大橋線、予讃線を経由して香川県の高松駅に翌朝の7時27分に到着する。
まずはこの7時27分という時間を覚えておいてほしい。
さて今度は上りのサンライズ瀬戸を見てみよう。
高松駅を21時26分に出発して東京駅には翌日の7時8分に到着する。
実はこの下りと上りのダイヤ設定がこのサンライズ瀬戸の最大の売りなのだ。
それでは時刻表の航空ダイヤを見てみる。
羽田空港発高松空港行の朝一便は7時35分発で高松空港到着が8時55分(本日現在)となっている。
高松空港は高松市の中心部からおよそ16キロ離れているのでどう頑張っても1時間は移動に取られるだろう。
高松市内でのビジネスのスタートはどう頑張っても朝の10時になってしまう。
さて今度は高松空港発羽田行の最終便の時間を見てみる。
高松発20時20分の羽田空港着が21時30分となっている。
都内に住んでいる方でも自宅に着くのは23時近くになってしまうのではないだろうか?
実はサンライズ瀬戸はこの航空機のダイヤの隙間をうまく突いた絶妙なダイヤ設定になっている。
もしビジネスマンが高松市内もしくは都内で朝9時からの会議に出席しようと思ったら、航空機で前日から入ってビジネスホテルに泊まらなければならない。
ところがサンライズ瀬戸であれば前日から寝台車の中で一杯やりながらゆったりと高松市内または都内に向かうことができるのだ。
もちろん交通費には宿泊代が含まれているのでビジネスホテル代も不要だ。
また会議後に懐かしい同僚と一杯やる事になっても高松空港20時20分出発のために18時ぐらいには空港に移動しなくてはならない。
ところがサンライズ瀬戸で東京に戻れば高松駅前の店なら21時まで飲んでいる事もできる。
寝台車でゆっくり寝ながら翌朝7時8分に東京駅に到着する。
余裕のある人は自宅に戻って会社に行くのもよいし時間的に余裕のない人はそのまま出社する事もできる。
ある意味いたせり尽くせりの寝台特急電車なのだ。
航空機によって衰退した感のある寝台特急だが頭を使えばこんな戦い方もあるわけだ。
カシオペアの引退で札幌方面の寝台特急が無くなったしまったが、札幌駅に直通するビジネス寝台特急を復活させるのも有りだと思う。
窮地に追い込まれているJR北海道の多少の追い風になるかもしれない。