昨年からコンビニの出店の鈍化が始まっているようだ。
2019年から前年の出店数を初めて下回っている。
自分に言わせれば逆によくここまで出店し続けたものだと感心してしまう。
コンビニの飽和点はとっくに過ぎているのにいつまでも出店を続けている方が変な話だ。
その実情はオーナーが過酷な労働環境の中、少ない収入に悲鳴をあげながら働き続けているからだろう。
ところでそもそもコンビニの飽和点とはいくつなのだろうか?
一般的なコンビニ一店舗あたりの商圏人口は3,000人と言われてきた。
ただこの数字はコンビニ発祥当時の数値であって現在の状況にあてはまるかは少々疑問を感じる。
一応、今回はこの数字を基準に計算してみる。
単純計算で日本の人口およそ一億2,000万人を商圏人口の3,000人で割ると40,000という数字が出てくる。
つまり日本の人口規模から考えるとコンビニの適正数は4万店ということになる。
つまり飽和点は4万店だ。
それでは現在のコンビニ大手4社の店舗数を見てみる。
セブンイレブンが2020年11月末現在で21,038店舗。
ファミリーマートが2020年11月末現在で16,656店舗。
ローソンが2020年2月末現在で14,444店舗。
そしてミニストップが2020年11月末現在で2,000店舗となっている。
コンビニ大手4社の店舗数の総数は54,138店舗になる。
つまり当初の想定の1.4倍近い店舗数になっている計算だ。
これは逆に考えれば一店舗あたりの商圏人口が減っていることになる。
日本の人口一億2,000万人をコンビニ大手4社の店舗数の総数54,138店舗で割ると、その商圏人口はおよそ2,200人で当初の想定の73%に減ってしまった事になる。
一店舗あたりの売上にも相当な影響を与えているだろう。
対策はただひとつでコンビニの数を減らすしかない。
でもそんなことを言い出すコンビニ本部などないはずだ。
彼らは絶えず出店を続けていないと会社の存続にかかわってくる。
何故ならいくら店舗が増えても自分達には痛くも痒くもないからだ。
出店が鈍化しようと増やし続ける事はやめないだろう。
コンビニのフランチャイズ契約はあくまでも粗利に対する課金。
チェーン全体の売上を確保していれば各個店の売上など眼中に無いのかもしれない。
その証拠が「ドミナント戦略」だ。
ドミナント戦略とは「高密度集中出店方式」の事。
とくにセブンが徹底していてお店をパラパラ作らないで一定地域の覇権を目指すというもの。
だからチェーンの売上の良い地域には新たに同じチェーンが出店する。
コンビニオーナーにとって同チェーンが近隣に出店する事ほど嫌な事はないだろう。
客とアルバイトの奪い合い。
コンビニは飽和点を超えて新たな局面に突入している。