甥っ子にまたひとり結婚の話がでている。
晩婚化が叫ばれている昨今、ある意味相手が見つかる事はけっして悪い話ではない。
冗談抜きに春から縁起が良い。
結婚が決まらなくて出雲まで出掛けに行く若い女性も多いという。
「結婚成就」のお札を胸に理想の男性を探し求める旅は続くのだろう。
需要と供給は決してバランスが崩れているとは思えないのだが不思議な状況だ。
しかし結婚に限らず、「学業成就」や「安産祈願」など日本人は「縁起が良い商品」に本当に弱い。
自分などはせいぜい正月ぐらいの話だが一年365日、縁起に振り回されている人々がいる。
俗にいう「縁起を担ぐ人」と呼ばれる人達だ。
実はこの「縁起を担ぐ人達」はひとつのマーケットになっていると言われている。
それもかなり安定的なマーケットだ。
新聞のチラシの中に「金が貯まる財布」というたぐいの広告を見た事はないだろうか?
他のチラシに比べて明らかに差別化をしている。
厚手の紙にフルカラー印刷をしてそして金色を多用してあまりにも豪華な仕上がりだ。
素人目にもチラシに相当なお金をかけている事がかわる。
肝心の商品である財布はお札を折り曲げていれない長財布だ。
風水的にも良いとされている黄色を基調としたデザイン。
お世辞にも格好良いとはいえない。
価格はノンブランドで1万円という強気な設定だ。
普通の人ならこんな財布を1万円で誰が買うのかと疑問に思うだろう。
結論からいうとそのような疑問を持つ方は凡人で商売の才能はないと思った方が良い。
商才のある方は「このような広告方法でこの商品をなぜ売っているのか」と考える。
そこでこのマーケティング方法の仕組みを紹介しよう。
この手の縁起の良い商品の広告をばら撒くと僅かだが「縁起を担ぐ人」のレスポンス(反応)がある。
数字は不明だがに仮に数万枚チラシをばら撒けば何人が確実に商品を購入することになる。
ただこれだけ費用のかかっているチラシを新聞ばら撒くとなると広告宣伝費は高額になってしまう。
数十万円の売り上げでは元が取れないと思われるだろう。
でも元が取れるのだ。
実をいうとこの「金が貯まる財布」を売っている企業は今回の商売で利益を出そうとは考えてはいないのだ。
彼らが欲しかったのは「縁起を担ぐ商品に購入する顧客リスト」だ。
縁起を担ぐ人は縁起を担ぐ商品には敏感に反応する。
この企業は次回以降に利益率の高い他の「縁起を担ぐ商品」を準備する。
次は新聞広告を使わずに低コストのダイレクトメールでこの顧客リストに広告を送るのだ。
これは誰が見ても成約率の高い商売になりそうだ。
何気なく新聞チラシを見るのではなくその裏に何があるのかを考えるのも勉強になりそうだ。