ダイハツ工業が、生産する全車種の出荷を停止した。
同社は「ハイゼットトラック」と他社ブランドの車種を含め、軽トラック全体の約6割を生産する最大手。
軽トラは農作業に欠かせず、出荷停止が長引けば営農に支障が及ぶ可能性がある。
同社は20日、新車の安全性を確認する試験で新たに174の不正が見つかり、全車種の出荷を停止すると発表した。
再開の見通しは立っていない。
出荷停止の車種には「ハイゼットトラック」と、相手先ブランドによる生産(OEM)のスバル「サンバートラック」、トヨタ「ピクシストラック」が含まれる。
一方、中古車の流通は「特に制限されていない」(広報室)。
全国軽自動車協会連合会によると、2022年の軽トラ新車販売台数は約16万8000台。
このうち、9万台を占める「ハイゼットトラック」など、同社生産の3車種の販売台数は9万8800台に上る。
同社の他に、国内で軽トラを生産するのはスズキだけだ。
同連合会は、出荷停止が長期化すれば軽トラの新車供給への影響は大きいと指摘。
「買い替え時期が延びる人も出るのでは」とする。
ダイハツの第三者委員会の報告書によると「ハイゼットトラック」でも不正があった。
①車を壁に衝突させて助手席の安全性を測る試験で、一部を事前に用意したデータに差し替え②速度計の試験で規定のタイヤ圧を守らなかった──などだ。
同社広報室によると「不正が見つかった車種も、ただちに使用をやめる必要はない」。
試験で不正はあったが、同社が安全性を再確認したところ、「どの車種も問題なかった」(同室)と説明する。
同社の軽トラックを利用する農家には、戸惑いが広がる。
栃木県のトマト農家(52)は「命に関わる問題。本当に大丈夫か」と指摘。
4年前に他社から乗り換え、「ダイハツにしかない装備があるので選んだが、残念だ」という。
秋田県の水稲農家(68)も「ニュースを見て不安になった」と話す。
同社製の軽トラを取り扱う東海地方のJAには、過去に購入した農家から問い合わせが相次ぐ。
新車を契約したばかりの農家もいるという。
出荷停止が長期化すれば他社に注文が集中し、「納期が遅れるのではないか」(担当者)と懸念する。(日本農業新聞)
アメリカでも日本の軽トラックがセカンドカーとして人気になっているらしい。
軽トラックは日本企業にしか作れない究極の実用車だ。
あのサイズにエンジンやトランスミッションなど走る機能を凝縮させている。
軽トラを含め軽自動車は日本の今後を占う車であったはずだ。
車は確かに安全性が一番。
でもあまり制約をかけ過ぎるのと成長産業にストップをかける事になる。