9月25日、広島高裁は四国電力による伊方原発3号機の運転を差し止めた仮処分決定の異議を認めて伊方原発3号機の稼働を容認した。
四国電力は3号機を10月27日に再稼働させる予定だ。
今回の論点は原発の危険性ではなくその立地にあった。
伊方原発から130km離れた阿蘇山の噴火が起きた場合の影響だ。
しかしこの影響を認めてしまうと火山だらけの日本では軒並み原発がその影響を受けることになる。
穿った見方をすれば広島高裁が全国の原発に忖度した格好だろう。
ただ自分はこの「伊方原発」と静岡県の「浜岡原発」だけは違う視点でその危険性を感じている。
それは大都市の南西にあるということだ。
それは北半球においては暗黙の了解で大都市の南西部には原発を作らないという説がある。
南西側から偏西風が吹いているため、事故があった時に北東にある大都市に影響がでるからだ。
「浜岡原発」に対する大都市とはもちろん「東京」のこと。
「伊方原発」に対する大都市とはもちろん大阪を中心とする「京阪神地区」の事だ。
誤解のないように「大都市」だけ助かれば良いのかという話をしているのではない。
東京都市圏のGDPは世界一位だ。
大阪都市圏のGDPも世界ベスト10に入る規模だ。
原発事故の実被害もさることながらこの二大都市圏の経済が崩壊することも非常に問題だ。
今回の台風による関西国際空港の施設や橋の修復は非常に速かった。
国も大阪都市圏の経済麻痺には神経を使っている。
東京や大阪の没落は日本という国の没落でもあるからだ。
2011年の東日本大震災を経験して日本は原発の怖さを知った。
なのに完全廃炉に向かう論議は一向に進まない。
むしろ国民が原発事故の記憶が消えるのを待っているのかのようにも見える。
ここに原発問題の本質があると思っている。
要は原発は一度動きだすと止まれないのだ。
方向を変換するには皆があまりにも投資をし過ぎてしまっている。
原発は他の発電装置に比べてランニングコストが安いと言われるが、研究費用や事故を起こした場合の事後処理の費用は他の発電装置と比べものにならない。
それでも国は原発の稼働を進める。
これを国益と見るのか?
それとも利権と見るのか?
9月26日現在、九州電力玄海原発3・4号機、川内原発1号機、関西電力高浜原発3・4号機と大飯原発3・4号機の7機が稼働している。
まもなく8機目が稼働する。