「自分の人生に影響を与えた5枚のアルバム」なんて上から目線の記事タイトルをつけてしまったが、自分はしがない一サラリーマンだ。
成功したミュージシャン気取りの戯言として読んでいただきたい。
さて二組目の紹介になるが、5枚のうち2枚は邦楽になる。
この時点で機転の利く方は一枚は大方の想像がついたのではないだろうか?
そうほとんどの方の予想通り大滝詠一の「A LONG VACATION」だ。
このアルバムを初めて聞いたのは大学生協のレコード売場だった。
インパクトがあったのはやはり一曲目の「君は天然色」。
インパクトのある三連符の前奏。
さらに曲にインパクトをつける「転調」。
しばらく売り場で聞きいってしまったほどだ。
ちなみに三連符とは4分音符を三つに分けるという意味。
聞いた感じは「タカタタカタタカタタカタ」となる。
あの特長のあるイントロを思いだされたのではないだろうか?
このアルバムも日本では珍しいアルバム全体にテーマを持たせている。
一曲目からほぼ南の島にいる気分になってくる。
三曲目の「カナリア諸島にて」では詩に打ちのめされた。
「カナリアンアイランド、カナリアンアイランド風も動かない」
「風も動かない」とは素晴らしい表現だ。
風も動きたくないぐらい素晴らしい島という事の例え。
この「A LONG VACATION」の素晴らしい歌詞を担当しているのが松本隆。
「Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語(ストーリー)」を除いたすべての作詞を彼が担当している。
「恋するカレン」はあの短い数行の詩でその時の情景が頭に浮かんできた人は多いはずだ。
大滝詠一は身内を亡くして傷心の中にいた松本隆を待ち続けた。
大滝詠一にとって「A LONG VACATION」の成功は松本隆の詩にかかっていると信じて疑わなかったわけだ。
そしてエンディングに大どんでん返しを持ってくる。
夏がテーマのアルバムに「さらばシベリア鉄道」を入れたのは大滝詠一、松本隆の仕掛けだろう。
最後にこの曲を入れた事によりこのアルバムはレガシーになったような気がする。
もうとにかくこのアルバムを聞いた。
当時は購入したレコードをカセットテープに録音する時代だったが擦り切れるかと思うぐらい聞いた。
自分に影響を与えてくれた名盤だ。
ただその主役たる大滝詠一はもういない。
今頃、天国で「A LONG VACATION」の続編を制作しているのかもしれない。