およそ「ローカル線」と呼ばれる路線は幹線と呼ばれる「本線」ではなく「支線」に多いと思われがちだ。
ところが地方には本線と呼ばれる「ローカル線」が多数ある。
今回は北海道の大いなる本線である根室本線を紹介したいと思う。
北海道には道都・札幌駅から本数は限定されているが各都市に向けて特急電車が設定されている。
函館駅行きが「スーパー北斗」、室蘭駅行きが「すずらん」、帯広駅行きが「スーパーとかち」、釧路駅行きが「スーパーおおぞら」、旭川駅行きが「ライラック」と「カムイ」、網走駅行きが「オホーツク」、稚内駅行きが「宗谷」という具合だ。
ところでひとつの街が抜けている事にお気付きだろうか?
それは根室本線の終着駅である根室駅だ。
根室本線は厳密には函館本線の滝川駅が起点で終点が根室駅に至るおよそ444kmの路線だ。
東京駅から東海道線で440kmといえば岐阜県あたりになる。
北海道の大きさが実感できる数字だ。
なお札幌駅からの特急はすべて石勝線経由になっている。
そして札幌方面からの列車の実質的な終着駅は釧路駅だ。
つまり本日紹介したいローカル線は根室本線の釧路以遠である。
釧路駅-根室駅間を一日6往復(厳密には釧路駅-厚岸駅間にプラス2往復ある)というダイヤだ。
自分が好きだった鉄道紀行作家の宮脇俊三氏の言葉を借りると釧路から先は「荒涼としたシベリア」の風景だ。
これは確かに実感できる。
この路線の圧巻は厚岸駅を過ぎてから広がる「別寒辺牛湿原」だ。
まるで水の上で列車が走っているような錯覚に陥る。
道東といえば「釧路湿原」が有名だが、この「別寒辺牛湿原」も1993年に「ラムサール条約」で「厚岸湖・別寒辺牛湿原」として登録湿地されている。
正直これを車内から見るだけでも価値があると思っている。
さて列車はそのまま根室駅に入っていくのだが、ここでひとつウンチクを教えよう。
日本最東端の駅は皆さん「根室駅」と思っている方が多い。
ところが厳密には一つ手前の「東根室駅」が最東端だ。
少々東にまわりこみながら「根室駅」にはいっていくからだ。
さてここで今話題の北方領土を見に「納沙布岬」に行くのはもちろん定番観光のルートだ。
ただもしその後時間と資金に余裕があるなら帰りはレンタカーを借りて太平洋側の海岸線を走って「霧多布湿原」に行かれることをお奨めする。
先ほど「別寒辺牛湿原」を絶賛したが自分的には「琵琶瀬展望台」から見た「霧多布湿原」が一番のお奨めだ。
美しくて忘れることができない風景である。