鉄道ファンは新幹線が延伸すると喜ぶのが一般的。
でも北海道新幹線に関しては心配の意見の方が多そうだ。
その理由は二つある。
一つは北海道新幹線の採算性。
そしてもうひとつは函館本線の行く末だ。
現在、新函館北斗駅まで来ている北海道新幹線は、開業時の勢いも虚しくおよそ140億円の赤字を垂れ流している。
2030年の札幌駅延伸までに赤字はさらに膨れあがりそうだ。
新幹線には「4時間の壁」がある。
「4時間の壁」とは飛行機との競合の目安とされている。
街の中心部に到着する新幹線に対して街の郊外に発着する飛行機。
郊外から街の中心部までの移動時間を考慮するとこの4時間がひとつの分岐点になるとされている。
例えば広島駅は東京駅からおよそ4時間を要する。
岡山駅までは圧倒的に新幹線が強いのに広島駅になると航空路線とイーブン(互角)になるという。
ましてや千歳空港のように札幌駅からの利便性の良い空港であれば4時間どころか3時間台の勝負になるかもしれない。
ちなみに現在、最速のはやぶさでも東京駅-新函館北斗駅間を4時間超で走っている。
そしてもう一つ心配なのが函館本線の行く末だ。
通常は新幹線開業に伴い並行在来線の経営はJR側から切り離される一般的だ。
という事で函館駅から小樽駅までの函館本線はJR北海道から経営分離される事になっている。
そもそもなぜ、北海道新幹線は比較的、人口のいる千歳線経由にならなかったか?
表向きの理由は将来、旭川駅に延伸するために札幌の西側からアプローチしたという事だろう。
ただ現実的には収入の見込める千歳線を経営分離させたくなかったのが本音だろう。
その千歳線の収入を支えているのが千歳空港の利用客とは皮肉な話だ。
さて経営分離をされる函館本線の地元自治体は頭が痛いところだろう。
沿線自治体や北海道で第三セクターを運営していく事になるからだ。
これはあくまでも自分の仮説だ。
そうならない事を願っている。
最悪の場合、函館駅から小樽駅間の函館本線が廃線になる可能性も否めない。
その理由は実にシンプル。
函館-長万部間の営業係数が214。
そして長万部-小樽間の営業係数が640だ。(2016年のデータ)
営業係数とは100円を稼ぐための経費を表している。
つまり長万部-小樽間は100円を稼ぐために640円の経費がかかるというわけだ。
この赤字を垂れ流す路線に果たして過疎化が進む沿線自治体が費用を負担できるか?
華やかな新幹線の影で厳しい現実が進行している。