スーパーマーケットにいくと、知らない間にお客さんは店の中を回遊させられているのは有名な話だ。
店の入口は通常野菜売り場から始まり鮮魚売り場、精肉売り場が壁面に構成され中央の棚に加工食品などが並ぶのが一般的だ。
客は野菜を選びながら今夜の夕食を計画作りを始める。
そこに鮮魚と精肉が加味されていくという流れだ。
さてここ数年この流れを変えているのが「惣菜売り場」だ。
少子高齢化で家族単位で食事を作る機会が減ったことも関係していると思われる。
少量のおかずは作るよりも買った方が理にもかなっている。
ということで各社流通はこの「惣菜売り場」に今一番力を入れているのだ。
さてそのスーパーで最近で増えたものに「イートインコーナー」がある。
概ね店内のファーストフード店に隣接している場合が多いのだが、先ほどの惣菜売り場で購入した惣菜をこの場で空けて食べていらっしゃる方も多い。
実はこの惣菜を食べることを想定したイートインコーナーの発展タイプが「グローサラント」なるものだ。
「グローサラント」はグロサリーとレストランからの造語だ。
「グロサリー」は大きな意味では生鮮以外の「食料雑貨」全般を取り扱う「食品スーパー」を意味するが、日本ではどちらかというと冷蔵を要する日配食品と冷蔵を要しない加工食品として使われている場合が多い。
この「グローサラント」の場合は前者の「食品スーパー」とレストランの融合をイメージしていると思われる。
最近ではこの「グローサラント」で食べる事を想定した惣菜のメニュー作りに各社、力が入っている。
ところでこの「グローサラント」は通常のイートインとは少々差別化されているところがある。
それはその店内で売られている食材を使って料理が作られている事だ。
簡単にいうと試食の延長上にある料理なのだ。
客は気に入った料理や食材があればそのまま購入する事ができる。
また通常のイートインコーナーのような簡易的なテーブルではなく、レストランのようにゆっくりくつろげる空間にしてある事も重要だ。
要は「滞店時間」をあげて少しでも買い物をして欲しいわけだ。
イートインだと購買に結びつかない学生のたまり場になりかねない。
敷居をあげて客をフィルタリング(振り分け)していることも容易に想像がつく。
消費が伸び悩む今、通販ではなく実店舗にいかに客を引き込むかが一番重要なのかもしれない。