大手小売りは必ず自社開発商品を揃えている。
これら自社開発商品を業界では「PB(ピービ―)」と呼ばれている。
このPBとは「private brand(プライベートブランド)」の略だ。
プライベートブランドの例をあげてみるとセブンイレブンやイトーヨーカー堂を展開しているセブン&iホールディングスでは「セブンプレミアム」。
イオンでは「トップバリュー」となる。
この名称をご存じ無い方でも一度は商品を手にしているはず。
過去に遡るとダイエー(現在イオン傘下)が展開していたのが「セービング」。
また海外進出もしている「無印良品」は親会社の西友のプライベートブランドから始まっている。
ちなみに西友は現在、世界最大の小売業であるウォルマートの傘下にある。
無印良品を展開する良品計画は独立して別会社として順調に推移している。
ところでプライベートブランドと言っても流通業が製造工場を持って商品を作るわけではない。
つまるところ同様の商品のナショナルブランドを作っているメーカーに製造を依頼する事になる。
ナショナルブランドとはプライベートブランドの対語であり商品の製造メーカーが命名したブランドを意味している。
という事でプライベートブランドの商品の裏面を見てみると製造者が「ハウス」や「カルビー」などの大手メーカーの場合が多い。
一見すると競合する商品を作っているようにも見える。
でも大手メーカー側にもプライベートブランドを作ることにメリットがあると言われている。
流通側が自社商品を並列して販売してくれればさして影響はない。
要はナショナルブランドとプライベートブランドでは購買客の棲み分けができているというわけだ。
メーカー側は自社の製造ラインの稼働率を上げられるし、大量に一括購入をしてくれる。
もちろん流通側にもメリットがある。
大量一括発注により仕入れコストの大幅な削減が可能になるというわけだ。
例えばセブンイレブンを例にあげてみると現在の店舗数がおよそ2万1000店ある。
新規でペットボトルジュースを開発しようとする。
24本入りを各店に仮に10ケース入れる計算にすると24X10X2.1万でおよそ500万本の数字が読める。
これをセブンに一括納品できるのであればメーカー側も最安値の見積が出せるだろう。
また流通側にもっともポイントになるのがプライベートブランドには「広告宣伝費」がかからないということだ。
自社チェーン店舗内で販売するので高額なテレビのスポットCMを流す必要がない。
ここがナショナルブランドとの大きな違いでもある。
各社が店舗数を拡大に必死になるのもこのスケールメリットが関係している。
今度買い物に行かれたら商品を良く見て欲しい。
プライベートブランドが知らない間に売り場のほとんどをを席巻している事がわかるだろう。