このところコンビニの24時間営業問題や休日問題が話題になっている。
特に公正取引委員会が介入した事には驚いた。
フランチャイズに加盟しているオーナーが24時間営業の契約の変更を求めた場合、本部が拒否する事は独占禁止法に抵触するというものだ。
これにはさすがにコンビニ本部の上層部も青ざめただろう。
利便性が売りだったコンビニの根幹を法律的に否定されてしまったからだ。
そもそもこの24時間問題がここまで表面化しているのはコンビニ特有の出店戦略に由来していると思う。
それはコンビニの「ドミナント戦略」と言われるものだ。
ドミナント戦略は「高密度集中出店方式」のことで特にセブンイレブンが開業当時からこだわっている。
お店をパラパラと作らないである一定地域に集中的に配置するというものだ。
ベンダー(商品の配送業者)の配送効率を高めたり店舗指導員の滞店時間を長くできるなどのメリットがある。
だから街中で一店のセブンイレブンを見たら周囲に必ず数軒あると思って間違いない。
コンビニ一店舗あたりの商圏は非常に狭い。
一般的な商圏人口は3,000人と言われており店舗の半径500mのエリア内でしかない。
ドミナント戦略では商圏がバッティングしない地域に可能な限り同チェーンの店舗を埋めようとする。
ところが今となってはコンビニが日本市場での飽和点を超えてしまった。
強気のチェーン本部は飽和点は超えていないというが計算すればすぐに理解できる。
先ほど触れたようにコンビニ一店舗あたりの商圏人口は3,000人だ。
単純計算で日本の総人口およそ一億2,000万人を3,000人で割れば40,000万店舗という飽和点を導きだす事ができる。
つまり日本国内におけるコンビニの適正数量は4万軒なのだ。
ところが現在のコンビニ大手4社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の店舗数がおよそ61,000店舗。
つまるところ新規の出店の余地はないのが現実だ。
結局、既存店がひしめき合う地域に新店を割り込ませることになる。
それもライバルが同じチェーンの店の場合も増えてきた。
こうなると客の奪い合い。
アルバイトの奪い合いが始まる。
結局、24時間営業の継続を余儀なくされる事になる。
公正取引委員会はしかるべきタイミングで英断を下したと思う。
今まで労使関係のない中、我慢して経営を続けてきたオーナー達の利益を守ってあげることが一番大切だ。
コンビニのドミナント戦略の限界。
コンビニは今後、どこに向かうのか?