まず最初にお断りしたい事がある。
長崎新幹線の正式名称は「九州新幹線西九州ルート」という。
長崎県が目的地ではあるが佐賀県側に配慮して命名されたようだ。
ただし今回は煩わしいので「長崎新幹線」で統一させていただく。
さて新型コロナウイルス騒動で忘れてしまっているが長崎新幹線の開業予定は2022年度という事はご存じだろうか?
ところが新鳥栖-武雄温泉間は白紙の状態が今も続いている。
先月、佐賀県側がフル規格ありきでなければ国交省と交渉の場につきたい旨のスタンスを表明。
開業二年前にまだこの状態なのだ。
一見すると佐賀県が駄々をこねているようにも見えるが、佐賀県側の言い分は話が持ち上がった時から一貫している。
もともと長崎新幹線は「フリーゲージトレイン(線路幅に合わせて車輪が可動する車両)」ありきで話が進んでいた。
フル規格を求める長崎県側が勇み足で武雄温泉~長崎間の工事を進めてしまう。
ところがここに来て技術的に難しいという事で「フリーゲージトレイン」の開発がとん挫してしまったのだ。
もともと在来線利用を想定していた佐賀県側からしてみたら全線をフル規格する場合の費用負担(およそ660億円)は納得のできる話ではない。
また長崎新幹線が開通すると並行する長崎本線はJR九州から経営分離をされ第三セクターで運営する必要が生じる。
もちろん佐賀県側の費用負担は佐賀県が行う事になる。
そもそも在来線の特急「かもめ」で現在、博多駅~佐賀駅はおよそ40分しかかからない。
仮に新幹線を通してもわずか15分しか短縮されないのだ。
そう佐賀県側には何もメリットがない話だ。
現状このままの状態で話が進むと博多駅から武雄温泉駅まで在来線の特急「かもめ」に乗車して、武雄温泉駅から長崎駅までのおよそ70kmをフル規格の新幹線に乗り継ぐ「かもめリレー方式」になる可能性が高い。
それは長崎県民にとってもあまりにも情けない負の遺産にならないだろうか?
JR九州側は山形新幹線や秋田新幹線のような「ミニ新幹線」方式は避けたいようだ。
そうなると最後の選択肢は「スーパー特急方式」しかないのではないだろうか?
スーパー特急方式とはトンネルなどの構造物は新幹線と同レベルとしながらもゲージを在来線と同じにして最高時速200キロで運行させるというものだ。
ただし佐賀県内の線路の再整備は難しいとなるとあまり時間短縮にならないだろう。
自分は鉄分が多いタイプで新幹線が大好きだ。
それでも今回は佐賀県側を応援したいと思っている。