「事故物件」という言葉をご存じだろうか?
主に不動産取引の際に多用される言葉だ。
賃貸契約の対象となるアパートやマンションの部屋もしくは共用部分において前居住者が「殺人」もしくは「自殺」もしくは「火災」などにより死亡した履歴のある物件の事をいう。
宅地建物取引業法において事故物件は「重要事項説明」として告知義務がある。
ただし次の入居者が入居して数か月後に部屋を出た際にはその告知義務がなくなる。
そこでこの「事故物件」に数か月だけ住むバイトがあるらしい。
家賃はもちろん無料でアルバイト賃も出るらしい。
たぶんに夜中は友だちの家を泊まり歩いてまともに家にいる時間は無いのではないだろうか?
このアルバイトの真意はともかく普通の感覚からすると仮にリフォームしてあってもあまり気持ちの良いものではない。
だから同地域同条件で格安物件が出ている場合は事故物件を疑う必要がありそうだ。
実はネットで簡単にその「事故物件」を検索できるサイトがある。
「大島てる」というサイトがある。
サイトを開くと日本地図が現れスクロールで拡大していくと「火」が増殖していく。
つまりこの「火」が事故物件を場所を表わしているのだ。
そしてこの「火」をクリックすると事故の詳細も表示される。
賃貸物件を探している人にとっては非常に有益な情報だが、賃貸物件のオーナーにとっては非常に厄介な存在のサイトでもある。
ところでこのなんとも不思議な「大島てる」というサイト名は人の名前なのか?
実はこの「大島てる」とは企業の名称なのである。
もともとは不動産業が生業だったが現在の業種は「情報・通信業」になっている。
サイト内で表示される広告が主な収入源のようだ。
ITビジネスの最大の売り物は「情報」だ。
その観点から考えればこの情報は究極の商品ともいえる。
とはいえ残された遺族の想いを考えると胸が痛くなるのも事実だ。
個人と特定できる情報は無いまでも事故の詳細と場所が表示され続けるからだ。
「知る権利」と「知られたくない事実」の狭間の中でこのサイトは成立しているのだ。
興味本位で覗く人もいれば真剣に事故物件を検索している人もいるからだ。
日本は今後、少子高齢化で空き家が増えていくだろう。
また賃貸物件のオーナーには冬の時代になる。
事故物件に住むバイトは今後拡大していくのかもしれない。