山形県のとある都市に周囲の田園風景に似合わぬタワーマンションがたっている。
このマンションは41階建てで東北最大の都市である仙台市内を差し置いて東北地方最大の高さを誇っている。
このように近頃はちょっとした地方都市の駅前でもランドマークのように「タワマン」がたっている。
「タワーマンション」の定義は概ね「58mの高さを超えるマンション」のことで階数にしておよそ20階ぐらいになるだろう。
「タワマン」は高層階に人気があり高層階から埋まっていく。
確かに「タワマン」を購入して2階3階に住んでいるのでは意味がないからだ。
ところでこの「タワマン」には問題が潜んでいる事は有名な話だ。
日本の「タワマン」は1976年に住友不動産が埼玉県与野市(現在のさいたま市)に建てた21階建て(高さ66m)の分譲マンションと言われている。
本格的な普及は1997年の容積率の規制緩和のタイミングだ。
この当時に作られた「タワマン」がまもまく築20年を迎える事になる。
逆にいえば「タワマン」の日本での歴史はまだ20年しか経っていないことになる。
マンションにお住まいの方ならご存知だと思うが、マンションは15年程度を目安に「大規模修繕」が行われている。
主に紫外線や雨風による外装の修復および給排水設備のメンテナンスだ。
通常は管理組合がこの「大規模修繕」のために「修繕積立金」をプールして管理していく事になる。
実をいうと「タワマン」の大規模修繕費用は低層階マンションの二倍以上になる可能性がある。
高層階のために足場を組むことができない。
そのため「リフトクライマー」という「移動昇降式足場」を使用することなどが高騰の要因だ。
「タワマン」の住人がマンション購入の時にその「大規模修繕」の費用に関する具体的な説明を販売会社から受けていたかは非常に疑問だ。
マンションの修繕積立金は入居者全員は払う事を前提に計画されている。
つまり住人が減少するとこの計画にズレが生じていく事になる。
ここで問題になるのがそのマンションの資産価値である。
東京など大都市の一等地に立つマンションなら地面の価値があるから目減りはしないだろう。
ところが前述の田んぼの中に立つ「タワマン」ならどうだろうか?
そして半永久的に持つイメージある鉄筋コンクリート製の「タワマン」だがその法定耐用年数は47年とされている。
これは入居者が存命の間に「建て直し」か「壊す」かの選択を求められることになる。
高層階ゆえに相当な費用が入居者に襲いかかることになる。
まさに地方都市にある「タワマン」は時限爆弾だ。
今後、地方でマンション購入を予定されている方はそのあたりの事を良く検討された方が良いだろう。