大阪の人は「安く買った」事を自慢する。
逆に東京の人は「高く買った」事を自慢すると言われている。
お金にシビアな大阪人と見栄っ張りな東京人をうまく言い表していると思う。
その典型とも言えるのが1980年代に量販店の双璧だった大阪のダイエー(創業地は神戸市)と東京のイトーヨーカ堂だ。
ダイエーは価格破壊を売りにして小売り業売上日本一を達成している。
対するイトーヨーカ堂は売上もさることながら単品管理にこだわり高利益体質で店舗を拡大。
最終的には高利益体質のイトーヨーカ堂がこの勝負を制し、最終的ダイエーは後発組みのイオンの傘下に入る事になる。
ただ一斉を風靡したイトーヨーカ堂も現在は子会社であるセブンイレブンに頼る状況下にある。
現況はさておきダイエーのような「安ければ売れる」という発想では商売が長続きをしない。
イトーヨーカ堂やセブンイレブンがこだわっているのは、「客が必要とする商品を欠品をさせず、適正な在庫を持ち適正な価格」で販売するという事だ。
これを可能にしたのがセブンが流通業に革命を起こしたPOSデータの活用だ。
ただ最近では少々、POSデータに入れ込み過ぎて店がワンパターン化しているのが気になる。
さて前置きが長くなってしまったが企業の「松竹梅の戦略」はご存じだろうか?
現在、外食産業をはじめ多くの企業がこのマーケティング手法を取り入れている。
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例えば「焼肉きんぐ」という焼肉チェーン店がある。
焼肉キングの食べ放題には3つのコースが設定されている。
一番リーズナブルなコースが「58品食べ放題コース」が2,680円(税抜)だ。
次に100品が食べ放題な「スタンダードコース」が2,980円(税抜)。
そして熟成特上カルビなども食べ放題となる「プレミアムコース」が3,980円(税抜)となっている。
ここでポイントとなるがのが松竹梅の梅である「58品食べ放題コース」と竹である「スタンダードコース」の価格差だ。
その差300円ならほとんどの客が竹である「スタンダードコース」を選ぶだろう。
ところが竹の「スタンダードコース」と松の「プレミアムコース」では差額が1,000円で少々ハードルが高い。
必然的に竹コースの注文が集中するという図式だ。
この松竹梅の戦略で店側は明らかに「スタンダードコース」に誘導しようとしている。
元々日本人は3つの選択肢があると真ん中を選ぶ傾向がある。
松竹梅の戦略は日本人にもっとも適している。
これは他の商品にも使われている。
スタンダードな商品の上に少々高額なモデルを配置する事によりスタンダードな商品に落ち着かせようとするのだ。
そもそもスタンダードな商品は大量生産で利益率も高い。
企業は松竹梅戦略で商売繁盛。
あなたも知らない間にこの戦略に巻き込まれている。