最近は多少減った感のある高齢者による交通事故。
ただ決して皆無になったわけではないだろう。
小さな事故も含めたら日々全国で起きていると思ったほうが良いだろう。
概ね道路の逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いがほとんどだ。
最近では政府の働きかけもあり自動車メーカーも広報活動や踏み間違い防止装置の開発に余念がない。
国全体が高齢化に向かっているはわかっていたのに免許制度がここまで後手にまわってしまったのは政府の失態だ。
現在、日本の75歳以上のドライバーは約530万人もいる。
75歳以上のドライバーによる死亡事故の構成比は12.8%にも及ぶ。
8件に一回は高齢者の原因または死亡事故の被害者になっている計算だ。
一番怖いのはドライバー自身が自分の老化を理解していない事。
もしくは理解しているが自身で認めたくないのかもしれない。
だから一般道で前方だけを直視してスピードを出している高齢者を見るとぞっとする。
通常、ドライバーはスピードメーターを見ていなくても多少のスピード感を持っている。
このスピード感も無い様ではさすがに免許返納の時期も来ているのではないだろうか?
そこで問題になるのが「免許返納」という引導を誰が渡すかということだ。
同乗している奥さんも高齢化していてその判断ができない。
ましてや子供が身近にいないまたは元々いないご夫婦の場合、その状況を把握すらもできない。
つまるところ行政がこの引導を渡すしかないわけだ。
ある程度の年齢(実はこの線引きが非常に難しいと思う)になったら免許更新の時に実地試験やペーパーテストでそのレベルを確認するしかないだろう。
残念ながら試験に落ちた場合、免許返納という引導を渡される事になる。
車が必須の過疎地に住む高齢者にとっては「死刑宣告」になるだろう。
この過疎地の話が絡んでくると結論が出なくなるのでは今回はあえて触れない。
ところで引導を渡される方には免許返納の特典がある。
希望する者には「運転経歴証明書」が付与される。
もともと免許証は身分証明書として役割が大きかった。
また各自治体や公共交通機関によって多少の差があるがバスやタクシーの割引制度もある。
もちろんその程度では免許返納の特典にはならないと言う方もいるだろう。
でもあなたが運転を止めることによりあなたのまわりにいる方達に安心が生まれる。
これこそが最大の免許返納の特典なのかもしれない。