「いかのおすし」という言葉をご存じだろうか?
「烏賊のお寿司」を思いだした方はグルメな方だろう。
ここでいう「いかのおすし」とは子供達に向けた防犯用語の事だ。
昨今の子供が狙われる犯罪を鑑みて、平成16年に警視庁少年育成課と東京都教育庁が考えだした。
「いか」-知らない人について(いか)ない
「の」-知らない人の車に(の)らない
「お」-(お)おきな声で叫ぶ
「す」-(す)ぐ逃げる
「し」-周囲の大人に(し)らせる
というもので子供の犯罪に対する啓蒙活動の一環としては良いと思う。
が果たして幼い子供がこれだけの文章を記憶して、危険な場面で思いだす事ができるのかは少々疑問だ。
例えば「知らない人」というのが曲者だ。
子供達にとって世の中は「知らない人」との出会いの連続だ。
いきなり大人が近づいて来て「お母さんが交通事故にあったから病院に連れて行ってあげる」という言葉を小学校低学年の子供はどう受け止めるだろうか?
大切な母親の心配が先にたって、知らない人などどこかに飛んで行ってしまっているのではないだろうか?
また子供はその容姿にも影響を受けやすい。
警察官に似た警備服を着ている大人には安心感をいだきやすいのではないだろうか?
そもそも大人でさえ、まともに警察手帳を見た事がある人がはたして何人いるだろうか?
誤解のないように。
自分はこの標語に何も効力が無いと言っているのではない。
もちろんやらないよりはやった方が良いと思う。
ただ昨今の子供向けの犯罪を見ていると、このような机上で考えた対策では役に立たなくなっていると思っている。
日本の集団登校は海外では考えられない行動だという。
また欧米の一部の国では子供を一人にして親が外出する事は犯罪になることもあるという。
日本は世界的にみても治安が良い国の筆頭だと思うが、今はそれがあだにもなっているような気がする。
そろそろ日本も子供の通学にスクールバスを出すなど具体的な行動を取る時期に来ている。
昔、日本では「水」と「安全」はただと言われてきた。
ところがどうだろう。
皆スーパーで「水」を買うのが当たりまえになり、余裕のある方は警備会社の自宅の警備を依頼している。
そう知らない間に日本の安全神話を終わりを迎えようとしているのかもしれない。