池袋で高齢者ドライバーによる傷ましい事故が起きたのが4月19日だ。
早もう二か月が過ぎようとしているが高齢者による事故のニュースを聞かない日がない。
その多くの加害者のいいわけが「アクセルとブレーキの踏み間違い」だ。
いい加減聞き飽きた感さえ感じる。
ただひとつ言えることがある。
明らかにシニア世代の交通事故が多いという事だ。
日本には現在75歳以上のドライバーがおよそ530万人いる。
そして75歳以上のドライバーが絡む死亡事故の構成比が12.8%にも及ぶ。
つまり8回に1度は高齢者が死亡事故の原因または被害者になっていることになる。
今回のように高齢者の交通事故が続くと「高齢者の免許返納」論議がでてくる。
ただ政府も安直に答えを出せるような事案ではないのだ。
誤解を恐れずに言えば東京や大阪なんどの大都市で高齢者が車を運転をする必要性があるのかは甚だ疑問だ。
もちろん憲法で規定されているから誰がどこにどんな手段で行こうとそれは確かに自由だ。
ただ都市部の高齢者ドライバーには移動手段として多くの選択肢がある。
例えば事故のあった池袋駅は山手線の他にもJR各線、大手私鉄、地下鉄、そしてバスも集積する日本でもかなり上位に位置するターミナルである。
ここに来るための交通手段は腐るほどある。
対して地方の僻地に暮らす高齢者はどうなのか?
移動手段にタクシーの選択肢さえ無い地域もある。
結局、自家用車がないと暮らしていけないのだ。
だから都市部も地方も十羽一絡げで「高齢者の免許返納」とするのに政府が躊躇をするのも理解できる。
ここで誤解をして欲しくないのだが、僻地だから高齢者が多少危なくても運転をして良いと言っているのではない。
確かに90歳を過ぎてもしっかりと運転できる高齢者は確かにいる。
個人個人の運転適性を短いスパンで確認していくのが現段階でできるベストな方法のような気がする。
そして問題は歩行者側にもあるような気がする。
歩道を歩いていれば安心という時代は終わったようだ。
「もらい事故」で自分に過失がなくても命を落としてしまっては元も子もない。
車が背後から来たらそのドライバーの状況を確認するぐらいの意識が歩行者にも必要ではないだろうか?
最後に歩行者の身を守ってくれるのは歩行者自身なのだから。