日本国内で太陽光発電事業を手がける中国の貿易会社とグループ会社の計5社が、福岡、東京の両国税局の税務調査を受け、2018年までの4年間で計約30億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。
計上されていなかった経費が約11億円あり、その分を差し引いた約19億円が課税対象となった。
法人税などの追徴課税は重加算税を含めて計約6億円で、5社はいずれも修正申告などに応じた。
グループ全体で、再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」に基づき、高額な売電収入などを得ていた。
国税当局は、グループが中国で集めた資金をもとに利益を上げる一方、日本に納めるべき多額の税金を逃れていたと判断した模様だ。
5社は、中国・上海の貿易会社「上海猛禽科技(シャンハイマーチャントテク)」のほか、「宗像総合開発」、「朝日国際」、MERCHANT ENERGY第五」(いずれも福岡市)、「MERCHANT ENERGY第二」(静岡市)。
中国人男性1人が5社を実質的に経営していた。
関係者によると、上海にある上海猛禽科技が中国国内で資金や太陽光パネルを調達し、横浜市にある日本支店を通じてほかの4社に送っていた。
4社は、西日本を中心に太陽光発電所を建設。
売電収入を得たほか、その収入を得る権利「売電権」を売るなどして利益を得ていたという。
こうした状況を踏まえ、国税当局は、上海猛禽科技について日本国内で事業を行っている実態があり、その日本支店は課税対象になる「恒久的施設」に当たると認定したとみられる。
4社のうち、朝日国際は、上海猛禽科技への借入金の返済を、同社からの太陽光パネルの仕入れと偽って経費を水増しして所得を圧縮。
宗像総合開発も、発電所を別会社に売ったにもかかわらず、売り上げを除外していた。
残る2社も、収入を除外したり、経費を過大に計上したりしていたと指摘されたという。
中国人男性は取材に対し、代理人を通じて「修正申告は済ませ、全額を納付した」とコメントした。(朝日新聞デジタル)
2019年の資料によると中国企業が太陽光発電の世界シェアの63%を押さえている。
日本の国内市場は日本メーカーが押さえているとはいえ価格優先で商品を探せば必然的に中国製品に行きつくという図式だ。
どこかここでも日本製品のガラパゴス化を感じてしまう。
中国との価格競争は意味がないがはっきりとした差別化が欲しいところだ。