「東京湾アクアライン」なる道路をご存じだろうか?
1997年に開通した神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ高速道路のことだ。
開業時ならまだしも最近では関東の人でも「東京湾アクアライン」と聞かれてピンと来る人がかなり減っているのではないだろうか?
かくいう自分も走った事がない。
というか今後もかなりの確率で走る可能性がないと思う。
それは神奈川県と千葉県を結ぶというその立地にある。
関東在住の自分でもわざわざ神奈川県の川崎市まで渋滞の中を進んで高い料金を払うぐらいならそのまま陸路を選ぶだろう。
そう東京在住の方でも墨田区、葛飾区、足立区、江戸川区など東寄りにお住まいの方が千葉県に行く経路として選択するにはあまりにも不経済で遠回りだ。
さて当初は料金が高く不評だったこの「東京湾アクアライン」も2009年の森田知事肝いりの料金値下げであるライバルを排除された事は皆さんご存じだろうか?
そのライバルとはJR東日本の特急「さざなみ」だ。
現在、木更津から東京までは頻繁にこの「東京湾アクアライン」を走る高速バスが走っている。
渋滞さえなければおよそ40分程度。
これは当時特急さざなみが木更津駅から東京駅まで走っていた頃よりも速くそして料金も安かった。
これでは特急電車に乗る意味がないという事でさざなみの客が激減してしまったのだ。
結局2015年3月のダイヤ改正内房線の君津駅-館山駅間の定期運転が廃止され、特急さざなみは現在、東京駅から君津駅までの運転になっている。
この状況に焦ったのが館山市だ。
千葉県南端の中心都市で特急さざなみは館山市の生命線でもあった。
2014年に館山市の市長がJR東側に特急再開の陳情をお願いしているが未だ復活の目途はなさそうだ。
森田知事が千葉県の地域経済振興のために値下げに動いた事が裏目にでて、県内の他の地域の経済振興を妨げてしまったのだ。
千葉県ほど南北問題がはっきりしている県も珍しい。
人口が増え経済発展しているのは県庁所在地の千葉市より東京寄りの地域だ。
船橋市、市川市、松戸市、柏市など人口40万人以上の大所帯ばかりだ。
ところがこの地域に「東京湾アクアライン」は何も付与していない。
千葉市を含めたこの地域の方にとっては悲しいかな「東京湾アクアライン」の動向はどうでも良いことなのだ。
東京湾にトンネルを掘って結んだまでは良かった。
国土の均衡ある発展を願うなら館山市など南部地域の事ももっと考えてあげるべきではないのか?