世の中にはいろいろな分野のマニアが存在する。
フィギュア関係の好きな人に言わせると気に行ったキャラクターのフィギュアは同じものを三体購入するそうだ。
ひとつは倉庫にしまって完全保存用に、ひとつは開封せずに部屋に飾っておく、そして最後のひとつを開封していろいろと遊ぶとの事。
メーカーに言わせるとこの手のマニアの市場はニッチだけど数字が読めるとの事。
確かにマス向けの新規商品を大量投入するよりは、マニア向けに限定で販売する方がビジネスと見た場合に安全なのかもしれない。
さてダムにもマニアがいる。
あの山の上にあるダムを週末になると見学に行っているのだ。
そのマニアたちの間で話題になっているのが「ダムカレー」なのだ。
こんな事を書くと、どこの観光地に行ってもカレーは置いてあるという話になる。
確かにカレーは万人受けする食事であり、どこの観光地に行こうがどこの店にも置いてある。
実はこのカレーダムはビジュアル系のカレーだったのだ。
ごはんをダムに、カレーのルーを貯水池に見立てて盛り付けす。
そしてご飯の掘られたトンネルのウインナーを刺してあるのが一般的だ。
客はまずウインナーを抜いてカレーのルーを流すところから始めるのだ。
もちろん子供は大喜び。マニアならずとも一度は作業してみたい演出が施されている。
このダムカレーのアイデアは立山黒部アルペンルートの長野県側の関電トロリーバス扇沢駅の大食堂で提供されていた「アーチカレー」がスタートの様だ。
今は驚くなかれ全国およそ130ヶ所のダムで提供されている。
もともと人のいない山の上に人を呼ぶという事は、地方活性化の観点からも非常に良いアイデアだ。
問題は冬だ。
前述の黒部にいたっては人気の黒部峡谷鉄道も冬の間は線路、枕木、架線にいたるまでさえも回収してしまうという。
これは雪害対策だが、概ねダムのあるところは雪が大量の積るところだ。
だからこのダムカレーも期間限定のところも少なくない。
「人間は考える葦である」とは哲学者、物理学者パスカルの有名な言葉だ。
「人間は自然界では弱い葦の一茎であるが、考える事のできる葦である」という意味だ。
お客さんがいなければ、猫を駅長にする。
人が来なければダムの形をしたカレーを作る。
特に日本人はこの手のアイデアはピカ一のところがある。
困難があればあるほど人はまたその次のアイデアを考える。
次はあなたの番かもしれない。