自分たちが子供の頃にも女性アイドルに没頭する若い男性がいた。
「親衛隊」なる組織が幅を効かせていた時期だ。
その頃の大人は若い女性が男性アイドルに夢中になるのが理解できても、若い男性が女性アイドルに入れ込むことを訝しげに見ていた記憶がある。
テレビの中で作られた正に「アイドル(偶像)」に没頭するのは「はしか」のようなもので二十代半ばになればほとんどの男性がその病気から回復していくのが一般的だった。
ところが最近の男性はそうでないらしい。
昨日、テレビ番組を見ていると女性アイドルの卒業コンサートに多くの中年男性が訪れていることに驚かされた。
それも恥ずかしげもなくテレビの取材に応じているのだ。
そのほとんどは若い男性だが、なかには30歳40歳の男性がいる。
30歳40歳というとまわりの友人達は子供もできている世代であろう。
価値感の差といえばそれまでだろうが、本当にそれで良いのだろうか?
悪くいうと完全に芸能界の術中にはまってしまっているのだ。
現代のアイドルはマーケティングありきで作られている。
CDを購入して「握手券」なるもを手にいれてイベントでアイドル本人との握手を得られるというわけだ。
中にはその「握手券」を複数得るために同じCDを複数枚購入する輩もいる。
そのイベント会場にいるアイドルの営業スマイルにしてやられて帰ってくる。
十代の若者ならそれで良いだろう。
でも30歳40歳になってこの瞬間にアドレナリンが分泌されまくっている男性達をどう評価して良いか言葉も見当たらない。
日本人は偉い人に必要以上に頭を下げる傾向がある。
自分も営業をしていた頃はそれが当たり前と思っていた。
でも最近ではどの人もただの「人間」だと思っている。
アイドルだって皆と同じただの人間なのだ。
アイドルに限らず女性を美化しすぎるから「痴漢行為」や「盗撮」などの性犯罪を起こしてしまう。
そんなただの人間の営業スマイルに毒される前に結婚を前提として普通の女性との接点を模索すべきだろう。
結婚して子供ができたら必ず人生観が変わるはずだ。
とそんな事をいくら説いても馬の耳に念仏なんだろう。
ひとつだけ確実な事がある。
それは皆が平等に歳をとっていることだ。
寿命には差があれど毎年皆ひとつずつ歳をとっていく。
還暦を過ぎた時彼らの手元に残っているは「握手券」が抜かれた大量のCDだけかもしれない。