穀物大国ウクライナに侵攻しているロシア軍が、輸出拠点の黒海沿岸を封鎖していることに伴う世界的な食料危機の解消に向け国連を交えた関係国の駆け引きが活発化している。
ロシア、ウクライナ両国と関係が良好なトルコが仲介に乗り出している中、セルゲイ・ラブロフ露外相が8日にトルコを訪問することになり、協議の行方が注目される。
穀物輸出問題を巡っては、トルコが5月末、自国とウクライナ、ロシア、国連が参加して監視センターをイスタンブールに設置することを提案している。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相も5月末、有志国の海軍が参加する国連主導の船団結成で海上交易の安全を確保する案を示していた。
こうした関係国の動きの中、プーチン露大統領は3日放映の露国営テレビとのインタビューで、穀物輸出を認める条件付きの提案を示した。
ウクライナが黒海の機雷を除去することを条件に、南部オデーサ港などを利用しても「安全な航行を保証する」と述べ、南東部マリウポリなどロシアの管理下にある港から輸出する方法にも言及した。
同盟国ベラルーシ経由でバルト海から海上輸送する案が「一番簡単で安価だ」とし、条件として、欧州連合(EU)の対ベラルーシ制裁解除を挙げた。
こうした案は2、3日にモスクワを訪問していたマーティン・グリフィス国連事務次長にも説明したとみられる。
プーチン氏は3日、露南部ソチで会談したアフリカ連合(AU)議長国セネガルのマッキ・サル大統領から、深刻な食料危機に向けた対応を求められていた。
国際社会でのさらなる孤立につながらないよう調整に乗り出す姿勢を示した模様だ。
プーチン氏にとっては、露軍が占拠する港湾でウクライナの穀物を扱うこととなれば、支配の既成事実化につながる。
ウクライナやEUが条件付きの露側の提案を受け入れる可能性は低いとみられる。
しかし、ウクライナも穀物輸出の停滞によって深刻な打撃を受けている。
今後もトルコなどを巻き込んだ打開策の議論が続くものとみられる。(読売新聞オンライン)
ロシア側に都合の良い条件だ。
ロシア側の条件をウクライナがのめばロシアの不法侵攻は正当化されてしまう。
ついでの同盟国であるベラルーシの立場まで考えているあたりプーチンはかなりしたたか。
アメリカやEUが出方に注目されるが、食糧危機に直面している国々はロシア側の提案に賛同するはずだ。