子供の頃、銭湯が街中に結構、存在していた。
現代と違って家風呂がまだ普及していなかった時代だ。
銭湯はまさに地域の交流の場でもあった。
銭湯に行くと必ず目にしたのが「ケロリン」の文字だ。
この広告の入った湯桶は銭湯に行った事がある人なら一度は目にしているだろう。
黄色ベースに赤いケロリンの文字は非常にインパクトがあった。
湯桶を広告媒体として使用したのは素晴らしい発想だと思う。
しかしなぜケロリンだったのかは未だに疑問だ。
もちろん広告効果があったからあれだけ普及したのだろう。
実をいうとこのケロリン湯桶は銭湯だけではなく、ゴルフ場やユースホステルなどにも普及していたという。
他の広告主が参入する前に湯桶という「広告媒体」を押さえてしまったのはお見事としか言えないだろう。
当時ケロリンを製造していた内外薬品株式会社(現、富山めぐみ製薬株式会社)の経営陣の先見の明を感じる。
ところで広告媒体と呼ばれるものは多岐に渡っている。
もっともポピュラーで広告効果が期待できるのは言わずと知れたテレビ媒体だろう。
ほかにも新聞、書籍、街中の看板など人は広告媒体の中で暮らしていると言っても過言ではない。
さて昔、取引先の方から広告媒体に関する面白い話を聞いた事があるので紹介しよう。
「各家庭に無料で配布される夢のような広告媒体」があるという。
それも広告効果が期待でき廃棄される可能性がかなり低いというのだ。
その夢のような広告媒体こそ今となっては懐かしいNTTが発行していたタウンページだ。
今のようにネットの普及していなかった当時は企業や店舗がこぞってタウンページに広告を出稿していた。
特に「ア行」が人気で「ア行」に店の名前を変えることもあったとか。
やはり日本人は「ア行」から探していく様だ。
とにかくタウンページを広げている人は「急いでいる人」だ。
至急、どこかに連絡を取りたいからタウンページで探している。
これほど広告主と顧客を端的に繋げている広告媒体も珍しかったのではないだろか?
またその他の広告媒体として非常に理にかなっていると思うのがカレンダーだ。
カレンダーは各家庭で一度掲示場所を確保できれば一年間は広告スペースを確保することになる。
年末に各社が必死になって取引先にカレンダーを配布するにはそれなりの理由があるのだ。
そして現代においては広告はネットにシフトしつつある。
この領域においては大手広告代理店もかなり苦戦しているようだ。