7月の九州豪雨で被災し、全線で不通が続く熊本県人吉市の第三セクター「くま川鉄道」(くま鉄、人吉温泉―湯前(ゆのまえ)24・8キロ)は、所有する全5車両が浸水する被害に見舞われたが、1両だけエンジンが息を吹き返した。
鉄橋も流されるなど危機的な状況を知った各地の「三セク仲間」をはじめ全国の鉄道会社からの支援を受け、運転再開を目指す。
7月4日の豪雨で、氾濫した球磨川から400メートルほど離れた人吉温泉駅の構内に止めていた5両の車両はすべて車輪部分まで浸水。
いずれも漏電などの恐れがありエンジンを動かせなくなった。
被害は線路や橋など全18カ所に及んだ。
永江友二社長(56)やくま鉄職員らが壊滅的な被災状況をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで発信すると全国の鉄道会社から激励の電話や書き込みが相次いだ。
その中に鳥取県の第三セクター「若桜(わかさ)鉄道」からのメッセージがあった。
車両復旧のために直接「技術支援をしたい」との申し出だった。
若桜鉄道の社員はトラックを運転し、被災から約2週間後の7月17日に人吉にやって来た。
点検したところ、停車地が傾斜していたため「KT―503春号」だけ他の4両よりわずかに浸水が浅かったことが判明。
バッテリーを付け替えるなどしてエンジンをかけるとうなりを上げて動き出した。
東日本大震災や熊本地震で被災したいずれも三セクの「三陸鉄道」(岩手県)や「南阿蘇鉄道」(熊本県高森町)からは義援金や、被災後の会社運営へのアドバイスなどが寄せられた。
くま鉄は旧鉄道省時代の1924年に開業したJR九州の「湯前線」を引き継ぎ、89年に三セクとして再スタート。
利用客の8割が沿線の高校に通う生徒で、地域の足として欠かせない存在だが、現在はバスで代替輸送している。
残りの4両は、さびが生じないようオイルを差すなど毎日メンテナンスを続けているがエンジンが再始動するまでには至らず、修復には莫大(ばくだい)な費用がかかるとみられる。
流失した橋などを含め鉄路の復旧にかかる期間は見通せない。
それでも、全国からの支援に「とてもありがたく、心強い」と勇気づけられた永江社長はあきらめない。
「湯前線100周年にあたる2024年の運行再開を目標に走り出したい」(毎日新聞)
鉄道f各社はどこも経営が厳しい時期だ。
その心意気に涙がでてくる。
密にならない程度に皆で地元の鉄道に乗ろうじゃないか?