日英両国が新しい貿易協定について、8月末までに大筋合意する見通しとなった。
合意すれば、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う“時間切れ”の関税引き上げは回避され、新型コロナウイルスで疲弊した両国の経済の下支えにもつながりそうだ。
デジタル分野で政府の介入を制限するなど、中国を意識した自由度の高いルールも盛り込む方向。
英国は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加検討を本格化させる可能性もあり、日英が連携を深めて自由貿易体制の強化を進める意義は大きい。
訪英中の茂木敏充外相は7日、「日英両国の貿易・投資の一層の拡大につながる」と成果を強調した。
乗用車や農産品など、個別の関税や輸入枠の合意状況については言及を避けたが、投資・サービスやデジタル分野で高いレベルの協定になるという。
英政府の関係者は「新協定により、新型コロナによる前例のない困難に直面している、わが国の経済を後押しすることができる」と期待を述べる。
みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「米中対立が激しくなる中、自由貿易のモメンタム(勢い)を維持していくというメッセージになる」と協定の意義を指摘する。
新型コロナで貿易量が急減したほか、医療品や食料などを自国に抱え込む保護主義的な動きが顕在化していることも背景にある。
また、国家間の合意である貿易協定には、経済にとどまらない影響力がある。
茂木氏は、人工知能(AI)などに使われる計算方法「アルゴリズム」について、進出先の企業に政府が開示要求することを禁止する内容が盛り込まれる見通しを述べた。
あくまで日英の協定ではあるが、政府の介入を制限するルールを「国際標準」とすることで、デジタル分野で国家による統制を強める中国を牽制(県政)する効果が期待できるというわけだ。
英政府は日英新協定の先に、TPPへの参加も視野に入れる。
6日のTPP閣僚会議に出席した西村康稔経済再生担当相は記者会見で「新規加入を通じてTPPの価値を向上できる」と話し関心を示している国として英国とタイを挙げた。
もっとも、茂木氏の訪英中の大筋合意が期待されていただけに、交渉の行方には不安要素も残る。
来年1月に発効させるためには日本側は秋の臨時国会で承認を受ける必要があり、残された時間は少ない。(産経新聞)
イギリスのTPP参加には期待大だ。
アメリカにも戻ってもらい対中国包囲網を再構築すべきだと思う。