前作で半沢直樹の最大の敵となったのが、香川照之(54)が演じた東京中央銀行・大和田暁常務。
クライマックスで半沢の倍返しを食らい、銀行の役員がそろった会議室で半沢にひれ伏した。
平均視聴率42・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した最終話の中でも、最も視聴者の目をくぎ付けにした名シーンだった。
「僕は“土下座はしたくない”と監督に言ったんですね。僕が知ってる大和田のような人は、絶対に土下座はしませんよ、と」。
意外な裏話を明かした。
大和田は冷静かつ大胆なやり方で、最年少常務にのし上がった男。
駆け引き上手で、裏切る時も情けはかけない。
「ああいう人は絶対に土下座しないんですよ。リアルではしないのに、ドラマだからするのはどうかと。だから“土下座をしないという選択肢がある”と言ったんですよ」福澤克雄監督はその意見を聞いてジッと考え込んだ。
出した答えは「してください」。
香川は「分かりました」と応じた。
ただし、一つ注文もつけた。「僕がイメージしてる人は土下座をしない。だから、土下座をするまでに限りなく時間かかりますよ。すっごいかかりますから。それでいいですか?」。
この言葉が、あの土下座につながった。
シーンは実に20分以上に及んだ。
土下座をすべく膝に付いた手と、そうはしまいとなかなか折れない膝との戦い。
歯を食いしばっても、忸怩(じくじ)たる思いがあふれ出る。
見下ろす半沢が憎らしい。
涙もよだれもほとばしった。
誰がやっても同じ演技にはならなかっただろう。
台本には「土下座をする」と一文が書いてあるだけなのだ。
今作の第1話は、あの土下座のシーンの、その後の生きざまも描かれる。
そして、香川のいとこである歌舞伎俳優市川猿之助(44)演じる伊佐山が、大和田のあだ討ちとばかりに半沢の敵になる。
「今度は、いとこまで連れてきて半沢を倒そうって、TBSもよく考えたものですよ」と笑う。
「土下座はたまたまあの時起こったこと」。
確かにドラマの一つの場面にすぎない。
だが、一つの土下座でここまで語り継がれた俳優は後にも先にもいないだろう。
「土下座を一つのコンテンツにしてしまったのは私の芝居。
今回も誰かがやっても面白いし、プロデューサーには“土下座する人はこの人とこの人かな。
この人にはさせちゃダメ”って言ってますから。
その時は、指導しなくては」とニヤリと笑った。
《半沢との関係性?「着地点が楽しみ」》
大和田は前作で半沢の倍返しを受け、常務取締役から平の取締役に降格。
今作の原作小説には登場しておらずドラマ独自で大和田のその後が描かれる。
12日の制作発表会見では「原作が完璧で入る余地がない」と思ったと明かした。
今作での半沢との関係性は謎に包まれており「途中まで台本ができていますけど、今のところいい感じ。
着地点が楽しみ」と話している。(スポニチアネックス)
今度の日曜日から半沢直樹の続編が始まる。
ドラマもあまり見ない自分にとってこれだけはまったドラマは無い。
日曜日が待ち遠しい。