鏡の前に長居するのは女性と相場が決まっていた。
ところが最近、自分はやたらと鏡の前に長居するようになった。
そんな男性は多いのではないだろうか?
自分が鏡の前に長居する理由は三つある。
まずはなんといっても髪の毛だ。
若い頃に比べるとかなり寂しくなった。
鏡の前でずっと眺めていても髪の毛が増えるわけもないのだがとにかく気になる。
出るのはため息だけだ。
そして二つ目の理由である白髪に視線が移動する。
白髪というものは本当に染めても染めてもキリがない。
残り少なくなった髪の毛の根元を探っていくと恐ろしいほどに真っ白だ。
普通に髪の毛が残っている両サイドから襟あし部分がひどい。
薄くなっていないところほど白髪になっている皮肉。
これを見ると坊主にするのも良し悪しだなと思う。
白髪も気にしだすとキリがない。
視線を下に降ろしいくと気になるのは髭や鼻毛に混じる白髪だ。
ただしこれは三つ目の理由ではない。
気がついたら白髪が顔全体に感染している。
ただ髭は毎日小まめに剃っていればさして目立つことはない。
また鼻毛も目立つものについてはその都度処理しているので問題ない。
自分が鏡の前で長居する三つ目の理由は目の上にあった。
そうまゆ毛の白髪だ。
これが想像以上に速いスピードで伸びていく。
それも全体ではなく一部のまゆ毛のようだ。
気が付いたら老眼鏡と小さなハサミを持ち出して根元から切っていく。
過去の総理大臣にも立派な白髪の眉毛を蓄えていた方がいた。
でも自分は眉毛の白髪はとにかく嫌いだ。
どうしても頭髪と同じくらい老けて見られるからだ。
ただ人間の体に生えている毛にはそれなりの目的があるという。
だからやみくもに抜くような事はしない。
かといって眉毛の白髪を染めるのは嫌だ。
下からどんどん白い毛がでてくるからだ。
だから地道にハサミで処理をするしかないのだ。
人の老後は白髪との不毛の戦いなのか?
我ながらうまい言葉だ。
山田君にざぶとんをもらいたいところだ。
白髪は老化により「チロシン」というアミノ酸が減少する事に起因するらしい。
このチロシンというアミノ酸は「大豆」や「カツオ」また「たらこ」や「チーズ」などに含まれているという。
酒が大好きな自分には「酒の肴」が並んだ格好だ。
果たしてこの歳から食べて効果があるかはわからないが積極的に食べてみようと思う。
まゆ毛の白髪との不毛の戦いはこれからも続きそうだ。