揉めている長崎新幹線(正式名称は九州新幹線西九州ルート)に動きがあった。
国土交通省が佐賀県側の主張を認めてフル規格前提の整備としない協議に応じるようだ。
正式名称が「九州新幹線西九州ルート」なのは佐賀県側に配慮したという事らしいが、煩わしいので今回は「長崎新幹線」で統一させていただく。
この長崎新幹線の問題の根幹にあるのは比較的博多に近い佐賀県側が一貫してフル規格を求めていない事にある。
もともと長崎新幹線は「フリーゲージトレイン(線路の幅に合わせてゲージが可動する車両)」の大前提で話が進んでいた。
フル規格を推進する長崎県側が勇み足で武雄温泉~長崎間の工事を進めている。
ところが「フリーゲージトレイン」の開発が思うように進まず完全にとん挫してしまったのだ。
在来線利用で進めたい佐賀県からしてみたら全線をフル規格で協議する事などとてもできない。
という事で今まで協議が止まっていたというわけだ。
そもそもなぜ佐賀県はフル規格を望まないのか?
それは佐賀県側の費用負担がおよそ1200億円になるからだ。
現在、在来線の特急「かもめ」で博多駅~佐賀駅が37分要する。
仮に新幹線が開通しても僅か15分しか短縮されない。
長崎新幹線は佐賀県にほとんどメリットがない話なのだ。
だから佐賀県側はこの計画が持ち上がって以後一貫してスタンスが変わっていない。
今後の国土交通省との協議で佐賀県側がフル規格を拒否すると武雄温泉駅から長崎駅までのおよそ70kmの区間が尻切れフル規格の新幹線路線になる可能性がある。
長崎県が勇み足でフル規格の工事を進めているかも想像がつく。
これは九州新幹線の新八代駅~鹿児島中央駅までの暫定開業を意識しての事だろう。
終点をフル規格で作ってしまえば中間地点も作らざるを得なくなるという事だ。
ただひとつ長崎県側が読み違えたしまった事がある。
それは予想していた以上に佐賀県側が頑なだった事だ。
個人的な意見でいえば佐賀県側の主張している事が正論であり世論もそう捉えている。
長崎新幹線開通により長崎駅~博多駅間の在来線特急との短縮時間は僅か26分だ。
この僅か26分のために長崎県はおよそ6,000億円の県民の血税を負担しようとしている。
鉄道好きな自分から見てもこれは負の遺産になるのは確実だ。
今からでも遅くない。
長崎県側はもう一度「スーパー特急方式」を検討した方が良いと思う。