一般の会社にお勤めしている正社員の方には「最低賃金」はあまりピンとこないかもしれない。
もちろんアルバイトやパートを抱える人事、経理端の人は絶えず気にしているだろう。
厚生労働省は毎年、各県の「最低賃金」を10月に改定している。
2020年東京オリンピック前には時給1,000まで上がるのではないかという噂があった。
蓋を開けてみるとその金額に達したのは東京都と神奈川県だけであった。
ここ数年、国の方針なのか最低賃金はあがっている。
アベノミクスの一環だろうが賃金をあげることにより消費者の購買力をあげるという政策だ。
しかし中小企業の経営者からは悲鳴があがり続けている。
大企業ならまだしも中小企業はおよそ景気が良いと言える状況ではないからだ。
そこに現在の「人手不足」が拍車をかけている。
コンビニのオーナーなどはその典型だ。
人手を確保するために最低賃金より高い時給に設定して募集する。
売上を維持できても利益がついてこないのが現状じゃないだろうか?
それでは2019年10月からの最低賃金はどうなっているのだろうか?
賃金の右側のカッコ内の数字は昨年の最低賃金だ。
数字は厚生労働省の資料から拾ってきた。
都道府県名 最低賃金時間額【円】
北海道 861 (835)
青 森 790 (762)
岩 手 790 (762)
宮 城 824 (798)
秋 田 790 (762)
山 形 790 (763)
福 島 798 (772)
茨 城 849 (822)
栃 木 853 (826)
群 馬 835 (809)
埼 玉 926 (898)
千 葉 923 (895)
東 京 1,013 (985)
神奈川 1,011 (983)
新 潟 830 (803)
富 山 848 (821)
石 川 832 (806)
福 井 829 (803)
山 梨 837 (810)
長 野 848 (821)
岐 阜 851 (825)
静 岡 885 (858)
愛 知 926 (898)
三 重 873 (846)
滋 賀 866 (839)
京 都 909 (882)
大 阪 964 (936)
兵 庫 899 (871)
奈 良 837 (811)
和歌山 830 (803)
鳥 取 790 (762)
島 根 790 (764)
岡 山 833 (807)
広 島 871 (844)
山 口 829 (802)
徳 島 793 (766)
香 川 818 (792)
愛 媛 790 (764)
高 知 790 (762)
福 岡 841 (814)
佐 賀 790 (762)
長 崎 790 (762)
熊 本 790 (762)
大 分 790 (762)
宮 崎 790 (762)
鹿児島 790 (761)
沖 縄 790 (762)
最低は790円、最高金額は東京都の1,013円でその差は223円にも及ぶ。
物価の違いもあるだろうが東京と地方の格差は広がるばかりだ。
さて最低賃金高騰に頭の痛い企業経営者だが最低賃金を違反するとどうなるのだろうか?
企業経営者は労働者に対して最低賃金額との差額の支払い義務が生じる。
また50万円以下の罰金が定められている。
また特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を労働者に支払わない場合、30万円以下の罰金が課される事になる。
経営者(社長)とは経営が上手く行っている場合には安泰だが、売り上げが落ちてくると多数の労働者を雇用している事が足かせになりかねない。
だから多くの企業が派遣などの非正規雇用の労働者を雇いたがるのだ。
ところで一時期、時給15ドル論争の出ていたアメリカの連邦最低賃金は7ドル50セントだ。
ただ多くの州で時給15ドルに引き上げる動きがでている。
これが日本に波及すればさらに最低賃金が上がるわけだが、それよりも機械化、自動化により雇用が減る事が予想される。
時給があがって雇用が減っては韓国の二の舞だ。
最低賃金にはある程度の歯止めが必要なのかもしれない。