都内近郊にお住まいの方なら「東急」という言葉は馴染みがあるだろう。
正式名称を「東京急行電鉄」といい東京都内の南西部、つまり山の手と言われる高級住宅街に路線網を持つ大手民営鉄道会社である。
その「東京急行電鉄」を核とする「東急グループ」には「東急百貨店」や「東急ホテルズ」、「東急不動産」などの有力企業が名を連ねている。
さて「東急」を冠につけた小売業に「東急ハンズ」という都市型ホームセンターがある。
全国区の流通業なので知らない人は少ないと思う。
一度でも行ったことがある方はその商品の品揃えに度肝を抜かれたのではないだろうか?
とにかく品揃えは徹底している。
噂によるとその品揃えを実現するためにバックヤードにほとんど在庫を置いていない。
欠品が近づくと業者が補充しているらしいのだ。
業者側にしてみれば「東急ハンズ」に商品を置いてもらう事は宣伝になる。
利益よりも販売促進の意味合いで納品しているのだろう。
さて「東急ハンズ」の親会社は流通業である東急百貨店でも東急ストアと思われがちだ。
実はこの「東急ハンズ」の親会社は「東急不動産ホールディングス」である。
自社の持つ遊休地利用のために本業以外のホームセンター事業に乗り出したものだ。
そこはさすが東急グループ。
「東急ハンズ」というホームセンターをブランディングしてしまった。
東急百貨店も驚いただろう。
さてそんな流通業の意外な親会社といえば「サミット」というスーパーマーケットがある。
南関東を中心に展開している中堅のスーパーマーケットだ。
この「サミット」の店名の由来は「SUMITOMO」の最初の5文字から取られている。
「SUMITOMO」とはご存じ「住友商事」の「SUMITOMO」だ。
「サミット」は住友商事とアメリカの大手スーパーであるセーフウェイ社が提携して合弁会社として設立された。
なお現在では住友商事の100%子会社になっている。
昨今は大手商社によるリテール向けの小売業が当たり前になった。
ローソンは三菱商事の子会社になり、ファミリーマートの筆頭株主は伊藤忠商事だ。
ちなみにこのサミットの創業は1963年までさかのぼる。
大手総合商社の中ではかなり早い時期にリテール向けの小売業に参入している。
2018年3月期の決算は、売上高は2875億1400万円(前年同期比3.9%増)、営業利益72億3500万円(5.4%増)、経常利益77億5800万円(16.3%増)、当期利益47億1300万円(31.3%増)となっている。
売上・利益とも過去最高を更新しているのだ。
流通業の競合他社が苦戦しているなか、商社譲りの経営力は本物のようだ。