ロシアの国営テレビに出演したプーチン大統領が22日のインタビューで「北方領土を日本側に引き渡す計画はない」と発言した。
大阪で行われる「G20サミット(20カ国・地域首脳会議)」後の日露首脳会談を控えて日本側を牽制した格好になった。
そもそも北方領土に関しては日本側は言いたいことがたくさんある。
1941年に日本はソ連と「日ソ中立条約」を締結している。
1941年といえば日中戦争が泥沼化してアメリカやイギリスとの関係も悪化している頃だ。
「日ソ中立条約」は日本とソ連が相互不可侵を確認しており、一方が第三国との軍事行動が起きても他方は中立を保持するというものだ。
また満州国とモンゴル人民共和国など相互の領土の保全と相互不可侵を確認している。
一般的な感覚でいえば条約は国と国との絶対的な取り決めである。
これを無視する行為は許されない。
ところがこの北方領土占領のソ連側の根拠が「ヤルタ会談」による取決めとされている。
「ヤルタ会談」とは終戦直前の1945年2月にアメリカ、ソ連、イギリスによって行われた会談だ。
このヤルタ会談でソ連は日本と「日ソ中立条約」を締結しているにもかかわらず、戦後処理で千島列島のソ連帰属が明記されているのだ。
日本との条約を破棄して戦争の体制の優勢なアメリカ、イギリスとの条約を優先させる。
そうこの頃からロシアという国は信用の無い国なのだ。
思い返せばアルゼンチンのブエノスアイレスで行われた前回のG20サミットの際には1956年に日ソ間で合意された「日ソ共同宣言」を前提に話が進んでいた。
「日ソ共同宣言」の合意事項とは「平和条約を締結した後は歯舞・色丹の引き渡しをする」というものだ。
ところがそれから僅か半年のうちに状況が一変する。
ロシア側はこの「日ソ共同宣言」の定義について「主権」を除いてきた。
主権がない領土をもらって何のための領土返還なのか?
そして挙句の果てに公の場で「北方領土を日本側に引き渡す計画はない」と発言したわけだ。
ロシアのスタンスはこの交渉が始まった時から変わっていない。
日本側が領土問題を議論する前に対露の経済協力をしろという事だ。
そうこの交渉は経済支援をお願いする立場にあるロシアが上から目線で要求をつきつけているだけなのだ。
日本政府は「GIVE & TAKE」に徹するべきだ。
外交についてはロシアは日本の二倍三倍も上手だ。
こんな事をいったら怒られるかもしれないが日本は北方領土返還急ぐ必要はない。
相手がその気ならじっくり待つべきだ。