思いかえせば自分達シニア世代は子供の頃に必ずといって良いほど皆が何かを集めていたような気がする。
自分などはもっぱら鉄道好きだったので自分が乗車もしていない切符も含めてとにかく収集していた。
手っ取り早いのが早朝の駅に行き改札に落ちている切符を拾ってくる事だ。
自動改札の今となってはとても叶わぬ行為だが昔はそれが可能だった。
そんな収集の趣味だがその価値と芸術性においては切手収集にかなうものがなかったのではないだろうか?
思えばクラスに数人は切手収集家の友だちがいた。
学校に切手ストックブックを持ってきては宝物を扱うように友達に自慢していた。
この手の趣味とはたぶんに希少なプレミアム切手の一枚目を獲得した時からスイッチが入ってしまう人がのめりこんでいくのだと思う。
ちなみに「プレミアム切手」とは切手に記載されている額面以上の値が付く希少な切手の事をいう。
浮世絵師である菱川師宣の「見返り美人図」などはそのスイッチになる一枚ではないだろうか?
自分などはこの菱川師宣を日本史で習ったのではなく切手の「見返り美人図」の作者として覚えた記憶がある。
そもそも金の価格が相場に連動して上げ下げするのは理解ができる。
「有事の際の金」と言われるぐらい不変的な財産でもあるからだ。
ところが有価証券なる切手が何故ゆえに額面以上に価値になってしまうのか?
例えば1940年に発行された「国立公園 大雪山 小型シート」の発行枚数が僅か4万2,000枚だ。
1940年といえば真珠湾攻撃をする一年前。
日独伊の三国軍事同盟が成立した年でもある。
国内の混乱は相当なものであっただろう。
その年に発行された4万2,000枚ならかなりの希少性を感じる。
という事でシートの額面総額は36銭だが現実的にはもっと高額で取引されている。
誤解を招くといけないので取引金額についてはここでは割愛させていただく。
という事でシニアの皆さんも書棚や押入れを再度探してみれば収集した切手が出てくるのではないだろうか?
もしかしたらプレミアム切手もあるかもしれない。
知らない間に奥さんが一般郵便用の切手として使ってしまう前に今一度確認されてみる事をお奨めする。
そういえば来年は記念すべき東京オリンピック開催年。
という事で5月まで記念切手が販売されている。
こちらのほうはかなり潤沢の発行枚数になりそうだ。
数十年後にどれだけの価値はつくかは微妙だ。