中国が推進する「一帯一路」を英語表記すると「The Belt and Road Initiative」になる。
直訳すると「ベルトと道の新規構想」といったところだろうか?
この場合の「Initiative(イニシアチブ)」は「新規の構想」とか「計画」、「戦略」という意味で解釈されていると思う。
ただ日本人が「Initiative」に一般的にイメージする「主導権」に思えてしょうがない。
要は中国が「一帯一路」によって経済的な主導権を握ろうとしているとしか思えないのだ。
その「一帯一路」構想にG7のメンバー国が参入してしまった。
先週23日にイタリアのコンテ首相と中国の習近平国家主席が「一帯一路」の協力に関する覚書に署名をしたのだ。
実をいうとG7以外でも欧州の国が覚書に署名しているのはあまり日本に伝わってこない。
エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ブルガリア、ギリシャ、マルタ、ポルトガルでそのほとんどが旧の東ヨーロッパの社会主義体制の国だった。
そこに西側の象徴であるG7の一角が参入したことは少々厄介な話になりそうだ。
そもそもこの「一帯一路」構想には問題点が多々指摘されている。
ご存じの通り発展途上国に莫大な債務を負わせてその代償として港湾などの利権を取り上げているからだ。
スリランカやギリシアなどがその「債務の罠」に陥っている。
この状況に業をいやしているのがアメリカだ。
中国とイタリアが「一帯一路」の覚書を交わして事をうけてアメリカのポンぺオ国務長官が失望感をあらわにしている。
アメリカが対中国で結束を固めようとしているG7の一角を切り崩した事で中国側にしてみればしてやったりといったところだろう。
現在、EUはイギリスの離脱をうけて混乱している。
特にドイツとフランスの親中国路線が非常に気になる。
アメリカに近いイギリスが「一帯一路」に参加する可能性は低いと思うがこのところアメリカとギクシャクしているドイツとフランスは参加する可能性があると見ている。
ただシャドーバンキング問題に揺れる中国経済に果たしてどこまでその力があるのか?
また海外にはあまり情報が洩れてきていないがイスラム園であるウイグル人の弾圧による火種が日増しに拡大している。
このあまりにも巨大であまりにも危険な国に投資することは最大のリスクになるだろう。