「ムサコ」という名前を聞いてピンと来る方は関東地方もしくは都内にお住まいの方でもあまりいないのではないだろうか?
一見すると女性の名前のようにも見えるが人の名前ではない。
実をいうと「ムサコ」は地名の略称なのだ。
東京には略称化された愛称のようになっている地名が多い。
地方の方でも一度ぐらいはテレビなどで聞いたことがあると思う。
有名所では「秋葉原(あきはばら)」が「アキバ」。
自分はあまりつかった記憶がないが「池袋(いけぶくろ)」は「ブクロ」などと呼ばれている。
また若者に人気のある「下北沢(しもきたざわ)」は「シモキタ」。
住みたい街ランキングの上位に君臨する「吉祥寺(きちじょうじ)」は「ジョージ」などとハイカラな愛称がある。
ところで「ムサコ」とはいったいどこの略称だろうか?
地方にお住まいの方には少々難しいかもしれない。
そこでヒントを差し上げようと思う。
前半部分の「ムサ」とは「武蔵」の略称で「コ」は「小」を表わしている。
「武蔵」とは言わずと知れた「武蔵国」という旧国名だ。
「武蔵国」は現在の埼玉県(旧中葛飾郡を除く全域)に東京都全域と神奈川県(川崎市と横浜市)を含む広大な地域を指す。
ということで関東には「武蔵」が頭にくる地名が結構多い。
自治体だと東京都下の「武蔵野市」、「武蔵村山市」。
また駅名になってくると「武蔵小金井駅」、「武蔵境駅」、「武蔵浦和駅」など関東地方に21駅もあるのだ。
話を「ムサコ」に戻そう。
「ムサコ」とは「武蔵」と「小」で始まる地名の駅名だ。
ところがその候補は実は三駅もある。
まず前述の吉祥寺駅から中央線で4駅西側にある「武蔵小金井駅」。
次が山手線の目黒駅から横浜方面に向かう東急目黒線にある「武蔵小山駅」。
そして渋谷駅から横浜方面に向かう東急東横線で川崎市にある「武蔵小杉駅」だ。
「武蔵小杉駅」は現在、その利便性から若い世代に人気で高層マンションの乱立している街だ。
多摩川の対岸の都内より高くなっている物件があるというから驚きだ。
現在の人気だけで言えば「ムサコ」は「武蔵小杉駅」にも思えるが現実的にはそうでもなさそうだ。
実をいうと「武蔵小金井駅」や「武蔵小山駅」の地元の方は「ムサコ」という呼び方が定着しているという。
ところが新しい住人の多い「武蔵小杉駅」周辺では「ムサコ」が定着しているとも言えないらしいのだ。
むしろ「武蔵小杉駅」周辺では「コスギ」のほうが一般的らしい。
ということで「ムサコとはどこですか?」と聞かれたら「武蔵小金井駅」や「武蔵小山駅」を答えておいたほうが無難だろう。