日本人はとかく買い物をする時に他人の目を気にするところがある。
俗にいう「世間体」というものだ。
最安値の商品を買わないが最高値も買わない。
つまり松竹梅でいうところの「竹」を選んでしまうのだ。
だからメーカー側もあえて売りたい商品の下にグレードの落ちる商品を作ってあげる。
それが「松竹梅の戦略」といわれるものだ。
商売は安く作って高く売るのが基本だ。
という事で一番売れる「竹」が利益率の一番高い商品になる。
メーカーとしてはこれを売っていくのが商売のセオリーだ。
だから単価の高い「松」を売っても儲からないこともあるのだ。
ましてや前述の通りの「見せ筋」である「梅」も赤字とは言わないが利益率がかなり薄くなってしまうのだ。
ということでこの松竹梅の価格設定は外食産業などでも多くの企業がこの手法を取り入れている。
例えば「焼肉きんぐ」という焼肉チェーン店がある。
ここには3つの食べ放題コースが設定されている。
一番リーズナブルな「58品食べ放題コース」が2,680円(税抜)。
次に100品が食べ放題な「スタンダードコース」が2,980円(税抜)。
そして熟成特上カルビなども食べ放題となる「プレミアムコース」が3,980円(税抜)だ。
ここで重要なのが「梅」である「58品食べ放題コース」と「竹」である「スタンダードコース」の価格差だ。
その差は僅か300円。
普通の考え方でいけば「竹」の「スタンダードコース」を選ぶことになる。
ところが「竹」である「スタンダードコース」と「松」である「プレミアムコース」では1,000円の差で少々ハードルが高くなる。
必然的に竹コースの注文に落ち着くというわけだ。
「焼肉きんぐ」では「松竹梅の戦略」で「スタンダードコース」に客を誘導しようとしていると思われる。
外食産業の注文などは入店後10分程度でその決断を求められるわけだ。
視覚的にわかり易い金額での訴求に越したことはない。
つまり「58:\2,680」と「100:\2,980」のどっちが得なのかは小学生でも直観でわかる。
現実的にはいくら頑張っても元を取ることが出来ないのが「食べ放題」だ。
入店直後はお腹が空いているせいでそのあたりの脳の感覚が麻痺しているのかもしれない。
数十分後、満腹中枢が作動して箸が止まる。
客も満足して店も満足といったところだろう。
松竹梅の価格設定は非常に重要というわけだ。