北陸新幹線開業にともない従来の新幹線ではあまりなかったタイプの編成が現れた。
金沢駅と富山駅をシャトル運行する「つるぎ」だ。
現状金沢駅-富山駅間(およそ66km)を23分で結ぶ。
途中の中間駅の「新高岡駅」にも停車して一日19往復している。
東海道新幹線や博多新幹線などでは始発や最終に東京駅-三島駅間や博多駅-小倉駅間など近距離運転もされているが数本のレベルだ。
もともと北陸新幹線開業まで京阪神方面から「特急サンダーバード」が金沢駅から富山駅まで運転されていた。
また名古屋方面からも「特急しらさぎ」が富山まで運転されており特急電車がこのふたつの県庁所在地の経済を支えていたのだ。
ところが北陸新幹線開業に伴い旧北陸線は金沢駅から直江津駅まで第三セクターである「IRいしかわ鉄道」、「あいの風とやま鉄道」そして「日本海ひすいライン」となってしまい特急電車を走らせることができなくなってしまった。
そこで北陸新幹線では金沢駅と富山駅間にシャトルタイプの「つるぎ」を走らせる事になったのだ。
「つるぎ」も名称は富山県の立山連峰にある「剱岳(つるぎだけ)」から取られている。
ところでこの近距離に19往復もさせて採算が合うのかという疑問が起きる。
現状この他にも最速タイプの「かがやき」が金沢駅-東京駅間を16往復している。
実はこの石川県と富山県は工業県で日本屈指の有力企業の集積地でもある。
石川県の代表格といえば「コマツ」だろう。
建設機械では国内シェア1位で世界的には「キャタピラー」に次いで2位につけている。
また白山市には「金沢村田製作所」など村田製作所の関連企業が集まっている。
金沢市に本社を置く「石野製作所」の名前をご存じの方は少ないと思うが、実はこの会社は「回転寿司」のコンベア生産の国内シェアの大半を生産している。
知る人ぞ知る超有名企業だ。
富山県側を見てみるとアルミ建材メーカーでファスナーでも有名なYKKグループの「YKK AP」。
アルミニウムで有名な「三協・立山ホールディングス」。
サッシ、ビル向け建材を扱う「新日経」。
ベアリングの生産国内4位の不二越などがある。
なるほどこれなら金沢駅-富山駅間に頻繁にシャトル新幹線を走らせるのもうなづける。
そもそも新幹線の莫大な投資にはこれくらいのしっかりとした裏付けがないといけないのかもしれない。