時事通信の記事によれば厚生労働省が発表した2017年の年金特別会計の収支は大幅な黒字だったようだ。
時価ベースの収支で厚生年金が10兆4479億円、国民年金が2729億円の黒字だった。
17年度末の年金積立金残高は総額で164兆1245億円になる。
これも過去最高だ。
いろいろな意見もあると思うが基本的には赤字より黒字のほうが良いに決まっている。
公的年金が赤字続きでは不安でしょうがない。
特にシニアの方にはこの年金システムの状態は非常に気にかかるところである。
でも素朴に黒字収支なら若い世代は掛け金を下げて欲しいだろうし、年金受給者にしてみれば受給金額をあげて欲しい所だろう。
でも今後の少子高齢化を考える原資は可能な限りプールしておくほうが理想だ。
だから掛け金に関しても受給金額にしても変わらないだろう。
日本の「皆保険制度」は世界に誇れるシステムだ。
ただ各社会保険によってかなり資金状況が異なる。
年金については前述した様に黒字状態だ。
また雇用保険(失業時の収入補てんを目的とした保険)にいたっては6兆円の黒字状態になっている。
これは昨今の有効求人倍率を見ればわかるようにプールされていくほうが圧倒的に多い状態。
問題は健康保険だ。
健康保険には大企業やグループによって作られた「健康保険組合」があるが現在その7割は赤字状態にあるという。
2018年度の予算案では社会保障費に30兆7000億円が投入されている。
医療に11兆8000億円、介護に3兆と投入されてもこの状態だ。
健康保険が独立したシステムとして運営されているとするにはあまにも脆弱だ。
さて話を年金の黒字に戻そう。
1980年代に年金福祉事業団が被保険者、年金受給者等のための保養施設と称して「グリーンピア」というリゾート施設を全国に13ヶ所設置した。
経営経験のない役人がつくった施設は大幅な赤字を生むことになり2005年までには地元もしくは一部は民間に譲渡された。
年金保険1953億円を使って総額48億円で売却された。
その収支は「マイナス1905億円」だ。
誰がこの金額を補てんしてくれたのか?
役人は年金で自分達の天下り先を作って事業性がないと判断したところで地元に売却してしまったのだ。
今回の年金黒字に関しては国民が良く監視する必要がある。