今回は政治と鉄道の絡みで時刻表を楽しんでみたいと思う。
まず最初に開くのは九州新幹線の時刻表だ。
博多駅からの下りを見ていると博多駅から4つ目に「筑後船小屋駅」というのがある。
この駅は各駅タイプのつばめのみの停車で一時間に1本もしくは2本停車している。
そもそも次の「新大牟田駅」までの間に福岡県内の駅が4ヶ所もある。
久留米市は福岡県で三番目の人口を有する歴史ある街だから誰も異論はない。
新駅となってしまったが大牟田市も福岡県で五番目の人口を有する比較的大きな街だ。
位置的な部分を含めてこちらも異論がないと思われる。
ところが「筑後船小屋駅」なる駅は何故に駅ができたのか?
どうもこちらの駅の誘致に政治家の古賀誠が関与が噂されている。
古賀氏は「筑後船小屋駅」の南側を流れる矢部川の反対側の福岡県山門郡瀬高町(現みやま市)の出身だ。
疑われて已む得ない駅の立地である。
ちなみにこの駅の乗降客数は一日あたり650人で、九州新幹線の駅で最低だ。
在来線の鹿児島本線とも駅舎は繋がっておらず、JR九州側にしてみれば停めたくなかった駅であろう。
実をいうとこのような「政治駅」はごろごろしている。
有名なところでは東海道新幹線の「岐阜羽島駅」だ。
もともと街道としての東海道は名古屋から三重県に至るルートなのだが、鉄路の東海道線は岐阜駅経由になった。
東海道新幹線の計画が持ち上がった時に岐阜県側は東海道線と同じように岐阜駅に新幹線を誘致に動いたのだ。
ところが当時の国鉄は名古屋から関ヶ原までの直線ルートを模索しており、両者の折衷案として当時国鉄の路線がない「岐阜羽島駅」が設定された。
その際に両者の仲介に入ったとされるのが「大野伴睦」だ。
大野氏は駅誘致の英雄として現在、岐阜羽島駅前に銅像が立っている。
ところがこの駅の現状といえば乗降客数は東海道新幹線としては最下位である。
何故なら岐阜市民はこだまタイプしか停車しない「岐阜羽島駅」よりものぞみが停まる名古屋駅のほうが使い勝手が良いからだ。
当時、国鉄と交渉して無理やり「岐阜羽島駅」誘致を成功させた「大野伴睦」はこの現実を今頃どう思っているだろうか?
地元に駅を誘致させるのを「我田引水」ならぬ「我田引鉄」という。
地元の貢献としてこれぐらいわかり易い仕事はない。
でも国会議員なるものは国益のために動くものであり、地元のために動くものではないと思うのだが。