「中華思想」という言葉がある。
中華の天子(君主)が世界の中心であるという発想だ。
中国の発想というよりも中国共産党を率いる「漢民族」の自己中心的な思想だ。
思想までは許されるがそれを行動に起してしまうのがこの国の厄介なところだ。
現在、中華人民共和国の発行するパスポートの査証欄には「九段線」の破線が引いてある。
「九段線」とは中国が南シナ海で領有権を主張している通称「赤い舌」の事である。
中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイが領有権を主張する南沙諸島がこの「赤い舌」には絡んでくる。
もちろん排他的経済水域(EEZ)の確保もあるが、大きな要因は石油、天然ガスなどのエネルギー資源が各国の思惑だ。
位置的には中国もさることながら台湾の主張にも無理を感じる。
中国は領有を既成事実化するために岩礁を埋め立てて基地を作ってしまった事は皆さんもご存知の通りだ。
さてこの問題と対を成すのが日本も関係する「尖閣諸島」だ。
こちらは1970年に国連が行った調査で石油埋蔵量がおよそ150億トンと発表されてから、中国や台湾が領有権主張を始めたのは有名な話だ。
ちなみに中国側の調査では南沙諸島付近に246億トンの石油埋蔵量を推定しており、「九段線」とか「第一列島線」と称して自国の利益を確保しようと躍起になっている。
まさに「中華思想」。
ところで中国がかかえる国境紛争は太平洋だけではない。
この「中華思想」のもと近隣諸国と結構揉めているのだ。
有名なところではインドとの国境紛争だ。
インドとパキスタン国境に広がるカシミール地方がよく主戦場となっている。
現在は休戦状態となっているが、インドが高速鉄道導入に際し競合する日本と中国のうち日本を選んだ事。
またアメリカ、日本、オーストラリアにより日米豪印戦略対話を進めるなどインドの対中戦略は基本的に変わっていない。
また意外だが中国は北朝鮮とも国境問題を持っている。
北朝鮮のテレビによくでてくる「白頭山(ぺクトゥサン)」も中国側が領有権を主張している。
ちなみに中国側の名称は「長白山」となっている。
その他ロシアともアムール川にある珍宝島を巡って揉めていたことがある。
中華思想は同盟国であろうと容赦しないのだ。
日本人は目に見える国境がないためこの手の意識が希薄だと思う。
中国の「中華思想」の行使はやり過ぎだと思うが、意識だけは見習うべきところがあると思う。