「日本最西端の駅」というのは2003年に沖縄都市モノレール線(ゆいレール)が開業するまで長らく長崎県の「松浦鉄道西九州線」の「たびら平戸口駅」だった。
同タイミングで九州にある「日本最南端の駅」である「指宿枕崎線」の「西大山駅」と同じくその座を失うことになった。
現在では「普通鉄軌道方式での日本最西端の駅」として地域活性の一役買っているようである。
問題は駅の定義なのだ。駅を広義で捉えればモノレールも含まれる。
二本の線路を走る鉄道という狭義で捉えると話は変わってくる。
鉄道ファンならずとも非常に気にかかるところである。
なぜならこの手の「日本最〇端の駅」とか「日本最〇端の岬」などは日本ならずとも観光地化しやすいからだ。
自分もこの「たびら平戸口駅」に行ったことがあるがお世辞にも賑やかな所でない。
「たびら平戸口駅」は駅の西側に浮かぶ平戸島の最寄駅として作られた。
平戸島は1500年代に南蛮貿易で発展した。
フランシスコ・ザビエルなどのイエズス会宣教師によりキリスト教(カトリック)が布教され、後にキリスト教弾圧の舞台にもなった。
街には多くの教会が並び、現在でも観光地として人気の島だ。
という事で駅のある陸側よりむしろ島側のほうに市街地が広がっている。
駅は国道204号(唐津街道)から坂を下ったところにひっそりとある。
「日本最西端の駅」の称号を簡単に譲るわけにはいかないのだ。
対する沖縄県側の広義な意味での「日本最西端の駅」は沖縄都市モノレール線(ゆいレール)の「那覇空港駅」だ。
空港としての「那覇空港」は年間利用客数は2003万3,021人(2016年の資料で国内線1695万4,819人、国際線307万8,202人)だ。
着陸回数は日本の空港で第五位。
旅客数は第六位、国内線の着陸回数は第二位、旅客数は第四位となっている。
ということで「那覇空港駅」の乗降客数は一日あたり12,757人でJR東日本の「海老名駅」と並ぶ数字だ。
新たな「日本最西端の駅」を主張するにはあまりにも良い条件が整い過ぎている。
ところで一つ先の「赤嶺駅」は沖縄都市モノレール線(ゆいレール)の一番南側に位置している。
そうなると自動的に「日本最南端の駅」となる。
その距離は僅か1950mモノレールで4分、150円の料金で「日本最西端の駅」から「日本最南端の駅」に辿り着くことができる。
もうあまりにもストーリーが出来過ぎていると思うは自分だけだろうか?
ところで「たびら平戸口駅」の一日の乗降客数は214人だ。
栄枯盛衰を感じる数字だ。
だからというわけではないが「たびら平戸口駅」を応援したくなる自分がいる。