また高齢者による悲しい交通事故が起きてしまった。
高齢者の事故が起こるたびに免許証の自主返納論議が出てくる。
ただ年齢的なくくり、また都市部に住んでいる方と過疎地に住んでいる方を十把一絡で論じる事はできない。
その高齢者の運転に関する安全性の論議は今日の本題ではない。
運転免許証の返納が進まないのは運転という問題の他に「身分証明書」が無くなってしまうという現実がある。
運転免許証というのは「身分証明書」として筆頭に扱われる公的証明書だ。
この「身分証明書」が無くなるというの高齢者の方にとっても非常に寂しい現実となる。
男性の方は会社をリタイアされると身の置き場に困ると言われている。
そう高齢になると自分の存在価値を周囲に知らしめるものが減っていくという現実がある。
だから運転免許証に固執するのではないだろうか?
この状況にも国も対策をたてており運転免許証を自主返納された方に「運転経歴証明書」の申請という選択肢を作った。
「運転経歴証明書」は運転免許を返納した日からさかのぼって5年間の運転に関する経歴を証明するものだ。
一種、安全運転に努めてきた方への表彰状的な意味合いもある。
この「運転経歴証明書」は各自治体ごとに公共交通機関の割引などの特典を受けることもできる。
今回はあえて都心部ではなく地方でどのようなサービスがあるかを紹介してみる。
北海道の北竜町では65歳の該当者に50,000分のタクシー補助券を進呈している。
富山県の朝日町では該当者シルバー入浴回数券を36枚支給している。
また和歌山県の上冨田町では、65歳以上の該当者に1年間コミニュティーバスを無料で使えるなど、各自治体はあの手この手で自主返納を促進している。
ただ少し現実的な話をすれば地方にいけばいくほどタクシーやコミニュティーバスの数が減る。
いくら安くなっても待ち時間だけはどうにもならない。
それこそ病院に行くだけで一日がかりになる事もあるだろう。
誤解を恐れずにいえば高齢になり免許証を返納する場合にはある程度の市街地にいなければ、自分で自動車を運転していた頃の生活を維持することは難しくなるだろう。
現実を直視して自分も含めて動けるシニアの間に次の一手を打って置くべきだと思う。
運転をしている人には自分に過信している人が多い。
自分だけは事故を起こさないと思いがちだ。
高齢になり事故を起してしまう事は被害者にとっても自分自身にとっても不幸だ。
判断がつくうちに自主返納して「運転経歴証明書」を申請するべきだ。
不便だけど安心した生活が待っている。