最近、大相撲の地方巡業の際に問題になったのが土俵の「女人禁制」だ。
もちろん伝統的な側面もあるのだろうけど、世界の流れを見ると少し頑な過ぎないだろうか?
改めて確認してみると、この「女人禁制」の地は日本国内にもそこそこ残っている。
まず出てくるのは山岳霊場だ。有名ところでは富士山、立山、白山、御嶽山などは江戸時代まではその対象だった。
奈良県の大峰山山上ヶ岳にいたってはいまなお「女人禁制の結界門」が存在して頑なに女性の入山を拒絶している。
この山は吉野熊野国立公園内にあり、2004年にはユネスコの世界遺産にも登録されている。
逆にいうとユネスコは女性差別よりその文化性を認めた事になる。
ユネスコの世界遺産といえば昨年、登録された福岡県の「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の中の「沖ノ島」も「女人禁制」として有名だ。
また国内の芸能に目をむけると「歌舞伎」は女人禁制として有名だ。
一般的な解釈でいうとその背景には「月経」や「出産」があるようだが、概ね「女人禁制」となる場所は、険しく危険なところが多かったため、子供を産む女性の安全のために禁止にしたという側面もある様だ。
ただ大相撲の土俵はどうみてその危険性が考え難い。
神事であった相撲は、土俵に女性の神様がいるとされ、女性が土俵に立つと焼きもちをやくというにわかに信じがた理屈から「女人禁制」なったという話もある。
話はちょっと変わるがイトーヨーカ堂(現・セブン&iホールディングス)のセブンイレブン創業当時のスローガンを思いだした。
「基本の徹底と変化への対応」
セブンはPOSデータなどイノベーション(変革)をおこし続けて成長してきた。
しかしその基本4原則は「欠品のない品揃え」「鮮度管理」「クリンリネス」「フレンドリーサービス」は揺るがない。
どこのお店にいっても商品がしっかりあって、賞味期限も過ぎていない。床はいつもピカピカになっているし、レジでの明るい挨拶もできている。
成功する企業は基本がしっかりしているから変化へ対応できるということだ。
話を戻そう。
「女人禁制」の文化や伝統は認めてあげるべきだ。
でも時代の流れへの変革もまた必要だと思う。
例えば舞鶴市で行われた地方巡業で倒れた市長のもとに駆け付けた女性看護師に「土俵から降りてください」と放送した行司の「基本は徹底」されていたと思う。
ただその前に命の優先を考える事が「変化への対応」だったのではないだろうか?
長い歴史がある大相撲だけに、土俵での「女人禁制」を解いた理事長は後世に名前を残すだろう。