若い頃、家を出て一人で暮らしたくて堪らない時期があった。
子供にとっての精神的独立は家を出るところから始まるのかもしれない。
そのタイミングのもっとも際たる時は大学進学時で自分もそれに合わせて家を出る事になった。
なんと自由で快適な日々だろうと思ったのもつかの間、半月も経たぬ間に生活費の現実の厳しさを知る事になる。
自宅から通う友人たちがアルバイトで得た金を服やレジャーに使うのを横目にスーパーに行っては安い食材を探す日々になった事を覚えている。
確か大学3年の頃には二つのアルバイトを掛け持ちしてかなりの額を稼いでいた頃もあった。(新卒で入社したら給料が減った記憶がある)
本来、一人暮らしとはそのような現実を乗り越えやがて経済的なノウハウを得ていくものだと思っていたが、現代の若者はいきなりシェエハウスなる共同スペースに身を持って行ってしまうのだが、果たしてそこには「独立」があるのだろうと思ってしまう。
果たしてシェアハウスはそんなに快適なのか?
その問題点を考えてみる。
リビングという共有スペースで毎夜、行われる宴会があると聞くけど、果たして学校や職場も違う接点のそれほどない人間とどこまで打ち解けて話する事ができるのか?
ルールになっている清掃や洗いものをしない人間を果たして責める事ができるのか?
そして本当にあなたの「精神的な独立」は保てれているのかという疑問もついてまわる。
下手をすると以前、家族と暮らしていたほうが静かで落ち着いていたのではないか?
シェアハウスだから、都内でも屈指の高級住宅街に住めるとか、やたらとマスコミがヨイショするから地方の子供達にはシェアハウスの問題点が伝わっていかない。
もっと端的に言えばこの程度の人との接点が欲しかったら、これから通う学校や会社の寮に入れば解決するはずだ。
つまる所、シェアハウスと寮は同じものではないのか?
まあシェアハウスの問題点を並べてこの業界の中傷を決してするものではないが、もっとその現状を伝えて入居にもちこまないといけないと思う。
結局、このシェアハウスの人間関係の煩わしさに嫌気がさして、再度、都心部で住宅探すなんて至難の業だからだ。
またここに来て、シェアハウスの投資的な側面からも問題が出てきた。
銀行から借りてローンを組んだ挙句、シェアハウスの入居者が埋らないという問題で、ローン破産する人が出始めている。
要はアパートの一括借り上げのシェアハウス版というわけだ。
この一括借り上げシステムはその運営組織が破たんしたら元も子もない。
シェアハウスは利用する側も提供する側も良く考えてから契約すべきだ。