新型コロナウイルスの感染拡大で道内のホテル業界の苦境が続いている。
さっぽろ雪まつりなど稼ぎ時の2月に中国からの観光客が大幅に減少、道独自の緊急事態宣言もあって影響は約4カ月に及ぶ。
東京五輪・パラリンピック開催に向けた観光需要増を背景に、ホテル開発の動きも活発化していただけに傷は深い。
営業を再開するホテルも出始めているが、どこまで客足が戻るかは不透明で、「開けても地獄、閉めても地獄」と現場からは悲痛な声が上がっている。
休業しても固定費が月数百万円
「流れている血の量が少し減っているだけのことですよ」。
休業中の札幌市内のホテル支配人は、休業による経費削減が限定的であることをこう表現した。
ホテル関係者によると、客室100室程度の中規模ホテルが休業したとしても、水道、電気の基本料金、各部屋のNHK放送受信料、毎月必要な電気設備やエレベーターの定期点検費用もあり、固定費だけで月数百万円が消えるという。
客室数が多くなれば固定費もさらに大きくなる。
投資が裏目に
急増する訪日外国人客の宿泊需要を取り込もうと、道内ではここ数年、札幌市内を中心にホテルの新設や設備投資が相次いでいた。
札幌市によると、市内のホテルや旅館などの宿泊施設は2019年3月末現在249軒で、191軒だった15年3月末から4年間で58軒、3割も増えた。
道内のホテル関係者は「今後の需要増を見込んで投資しており、年商の2倍の負債を抱えたホテルも少なくない」と明かす。
これとは別に、札幌市内を中心に民泊施設も大幅に増えた。
営業を続けるホテルも苦悩する。
札幌市内のホテルでは、感染を疑う自覚症状があり、自宅に帰れない客が1~2週間ほど泊まりに来たケースが複数回あったといい、10年近く働いた従業員が感染を恐れて辞めてしまった。
客室稼働率は5月下旬で1割台にとどまった。
ホテルの支配人は「感染が広がっても、国や道は宿泊施設に休業要請を出さず、休業しても協力金がもらえない。
感染のリスクだけは負わされ、まるでいじめだ」と憤る。
老舗が閉館
需要減を受け、創業68年の札幌第一ホテルは今月20日付での閉館を決めた。
同ホテルの米沢佳晃社長は「北海道は全国に比べてダメージを受けている期間が長い。
道内ホテルの窮状は理解されておらず、何らかの配慮や支援が必要だ」と訴える。(北海道新聞)
疲弊した日本の宿泊業に中国の富裕層が目をつけている。
日本政府は日本の宿泊業を守ってあげるべきだ。