2016年の北海道新幹線開業時に栃木県の県都にある宇都宮駅に激震が走った。
北海道新幹線の最速タイプである「はやぶさ(東海道・山陽新幹線でいうところののぞみ)」がすべて宇都宮駅を通過になってしまったのだ。
東京駅、上野駅(一部通過)、大宮駅を出たはやぶさは仙台駅までノンストップで走りぬける。
地方の方には印象が薄いかもしれないが宇都宮市は結構大きな街だ。
人口はおよそ52万人。
北海道新幹線沿線では東京都、さいたま市、仙台市に次ぐ規模の人口を擁している。
仙台駅が東海道新幹線でいうところの新大阪駅ならさしづめ宇都宮駅は名古屋駅のような存在である。
昔、名古屋駅を通過するのぞみが出現した時は大騒ぎになった事がある。
「JR東海の本社がある名古屋駅を通過するとは何事か」という事で数年で廃止された。
宇都宮駅のはやぶさ通過はそれぐらいのショックだったのかもしれない。
そもそもなぜ「はやぶさ」は宇都宮駅を通過になってしまったのか?
これは東海道・山陽新幹線でいうところの「のぞみ」が静岡県内に停車駅が無いことと似ている。
遠距離の客と中距離の客を分離する必要があるからだ。
例えば東海道・山陽新幹線の航空路線との競合は「4時間の壁」と言われる広島あたりからだと言われている。
東京からの客を可能な限り速く広島駅まで届けるには必要最小限の駅数にしなければならない。
「はやぶさ」もそのように中距離の客よりも仙台以北の客をターゲットにしているというわけだ。
ちなみに北海道新幹線は札幌駅まで延伸する事になっているが先ほどの「4時間の壁」は新函館北斗駅が限界だ。
札幌駅まではどう頑張っても5時間はかかるだろう。
実は北海道新幹線の札幌駅延伸は計画段階ですでに勝ち目が無いのだ。
だから東京からのスピードを優先させるよりも宇都宮駅や郡山駅など途中駅から客を拾う作戦の方が良いのではないかと思う。
または往路は新幹線で帰路は航空機などのパッケージツアーの組んで航空路線との共存を考えたほうが良いのではないだろうか?
現在も長崎新幹線はフル規格にするかどうかと隣県と揉めている。
そう新幹線は各自治体や企業の思惑が交錯していて非常に厄介だ。
果たして北海道新幹線の札幌駅延伸は宇都宮にとって吉と出るか凶とでるか?
開通後のダイヤ改正が非常に楽しみだ。