このところブラック企業のイメージがすっかり定着した感のあるコンビニエンスストア。
あなたのお住まいの地域にも一軒はあるだろう。
ところがこのコンビニが「オーバーストア」状態になっている。
「オーバーストア」とは商圏の人口に対して店舗数が過剰になっている状態をいう。
現在コンビニ大手三社の店舗数を調べてみた。
業界最大手のセブンイレブンジャパンが21,010店舗(2019年9月末現在)。
業界二位のファミリーマートが16,507店舗(2019年8月末現在)。
そしてローソンが14,659店舗(2019年2月末現在)となっている。
大手三社で52,176店舗にもなる。
ローソンの資料は少し古いため現在は多少増えているかもしれない。
しかし本当にコンビニが多い。
一般的にコンビニ一店舗あたりの「商圏人口」は3,000人とされてきた。
3万人の町なら10店舗もあれば足りる計算になる。
日本の人口はおよそ1.26億人だ。
1.26億÷3,000人=4.2万。
つまり理論上のコンビニの飽和点は国内では42,000店舗という計算になる。
ところが現在の国内のコンビニの店舗数は中小も合わせるとおよそ58,000店舗にもなる。
1.26億÷5.8万=2,172人。
つまりコンビニ一店舗あたりの商圏人口が3,000人から2,172人になっているのだ。
現在の商圏人口はコンビニ初期の想定商圏人口から3割近く減っている計算になる。
今後各チェーンが出店を繰り返せばさらにコンビニ一店舗あたりの商圏人口が減っていく事になる。
コンビニは「ドミナント方式」で店舗網を拡大してきた。
「ドミナント方式」とは「高密度集中出店方式」とも言われ特定の地域に商圏が被らないように集中的に出店する戦略だ。
ベンダーの配送効率やチェーンの宣伝効果も高まる。
ところが現在はこれがに裏目になりつつある。
結局チェーンの売上が良い地域には再び同じチェーンが出店する事になる。
他のチェーンならまだ差別化ができるが同じチェーンでは差別化のしようが無い。
そう飽和点を超えている現在の日本のおいては同チェーンの店が最大の競合店(ライバル)になってしまうのだ。
結局一店舗あたりの「平均日販」は下がる事になる。
実際、「平均日販」の優等生だったセブンイレブンの数字が落ちはじめている。
客数も0.9%減少しているとか。
ただチェーン全体の売上が下がらなければコンビニ本部は痛くも痒くもない。
売上が落ちているコンビニーオーナーは死活問題だ。
ただそんな苦しい中でもアルバイトやパートが集まらない。
結局オーナーが通常の業務の他に深夜の激務をこなす事になる。
コンビニ本部はオーナーにも正当な利益配分をしないと今後の出店攻勢に影響が出る事を理解しているのだろうか?