小売業は「心理戦」だと思う。
商品のスペックもさることながら価格やPOPの訴求力にも大きく消費者の心を動かす場合がある。
「100均」はまさにその心理戦の主戦場でもある。
今やショッピングモールの必須業態にまで確立されたのが「100均」だ。
つまり集客力が相当あるのだ。
比較的高齢の女性が多いように思われるが店の中はいたってカラフルに作ってある。
一見するとファッション雑貨の専門店のようにも見える。
「100均」が客に訴求したい事はいたって簡単だ。
「すべて税抜きで100円ですよ」という事だ。(最近は複数の価格帯を準備している場合もある)
これほどわかり易い訴求方法はないだろう。
価格を武器に展開しているディスカウントセンターでもこの手法には敵わない。
安い物をたくさん購入したいのなら「100均」だろう。
さてこの100均は本当にお得なのか?
という疑問が湧いてくる。
「100均」の心理戦の図式は下記のようなものだろう。
売り手は「なんとか100円で買えそうもないものを作って100円で買ってもらおう」。
逆に買い手は「なんでこの商品が100円で売ることができるのだろう?これならお得だから今必要ないけど買っておこう」というものだ。
そう「100均」ではこの心理戦の攻防がいとも簡単に成立してしまうのだ。
さてその素晴らしい攻防に水を指すわけではないが自分が「100均」で購入するもののカテゴリーはほぼ「消耗品」のみだ。
商品の企画制作に携わったことがある人ならわかってもらえると思うが、メーカーレベルでの商品原価は小売価格の30%以下にする必要がある。
というか30%以下にしないと利益を出せないのだ。
つまり「100均」で売られている商品の原価はどんなに高くても「30円」以下に収まる事になる。
ただここでいう商品原価とは店入れ価格ではない。
あくまでも製造原価のことである。
要はこの原価に製造メーカーの利益を乗っかってくるわけだ。
「100円均」に置いてある商品のその多くが中国製だ。
最近、人件費の高騰が著しい中国で「30円」でいったい何が作れるかと自分は疑問に思ってしまう。
だから自分は申しわけないが捨てていく「消耗品」以外に商品の価値が見いだせないと思っているのだ。
商品に対する価値観は人それぞれだ。
だから「100均」を否定する意図は毛頭ない。
納得した人だけが買い物をすれば良いのだ。