「ほくほく線」と聞いてピンと来る方は新潟県にお住まいの方か鉄道が好きな方だろう。
まず一般の方はご存じないと思う。
「ほくほく線」は新潟県の魚沼市にある六日町駅から同じく新潟県の信越本線の犀潟(さいがた)駅までを結ぶ北越急行の路線だ。
北越急行は第三セクターで運営されており新潟県、上越市、十日町市や地元銀行などが主要株主になっている。
第三セクターでは珍しく2014年までは黒字をたたき出していた。
収益の柱は上越新幹線の越後湯沢駅から福井駅方面まで運転されていた「特急はくたか」の通行料だ。
この路線の目的は上越新幹線から北陸方面へのショートカットであり、当時長岡駅からの乗り換えが主流だった北陸方面への時間短縮に貢献した。
それがなぜ2015年以降赤字に転落したのか?
それは先ほどの「特急はくたか」がこの「ほくほく線」を走らなくなったからだ。
感の良い方だとピンと来るかもしれないがこの「はくたか」は北陸新幹線の車両に昇格して各駅タイプ(東海道新幹線でいうところのこだま号)として活躍している。
実をいうと北越急行は過去の黒字分の内部留保を切り崩しながら30年は営業できると見込みとされている。
がそれはあまりにも楽観すぎると思う。
地域の鉄道離れが一段と進めば30年を持つかは保証がない。
それは北越急行自身が一番わかっており、積極的にイベントを仕掛けている。
なかでも話題になっているのが超低速運行されている「スノータートル」だ。
鍋立山トンネルを10km/h以下の低速で通過するイベントが大盛況だ。
そしてこの記事のタイトルである「ほくほく線VS北陸新幹線」も仕掛けている。
主力である「はくたか」を取られた北越急行は今度はその「はくたか」と戦っている。
直江津発13時57分発の「超快速スノーラビット」という快速電車がある。
この快速に乗れば越後湯沢駅14時55分着、連絡する「とき326号」に乗れば東京駅に16時28分に到着できる。
仮に直江津駅から「えちごトキめき鉄道(北陸新幹線開通に伴う信越本線の第三セクター化路線)」同時間帯の電車に乗って「上越妙高駅」からはくたかに乗っても東京駅には16時52分着となる。
一時間に一本程度しか停まらない上越妙高駅のウイークポイントをついた作戦だ。
もちろん自動車がある人なら新幹線の時間に合わせて上越妙高に行けば済む問題だ。
ただ直江津駅の北陸新幹線停車は既定路線だったはずだが外れてしまった。
直江津駅付近に住むかたの心情としては「ほくほく線」ルートを応援したくなるかもしれない。