学生の時、香港に旅行に訪れたことがある。
中国返還前の香港は自由に溢れた資本主義の国だった。
街の中心部にある啓徳空港に飛行機が降りていくのはなんとも刺激的だった事を今でも覚えている。
世界三大夜景と称される香港島の夜景。
香港はまさに宝石のような都市だった事を記憶している。
1997年7月1日イギリスと中国はアヘン戦争によって清朝から割譲した香港を中国に返還することで合意した。
当時の中国の鄧小平は「一国二制度」を維持しつつ将来50年(2047年まで)は社会主義体制にしないことを約束したはずだ。
それから20年後、中国はその約束を反故しようとしている。
今回の香港のデモで一番の争点となっているのが「逃亡犯条例の改正」だ。
香港政府は犯罪容疑者が国外に逃亡した際に身柄引き渡しを決めていた国に新たに中国本土を含めた。
これにより香港で民主化運動に携わり中国側にとって不利益と判断された人間は中国側に引き渡される可能性がでてくる。
香港特別行政区政府への中国共産党の干渉が年々拡大している事を憂慮した若者を中心とした香港市民が立ち上がったというわけだ。
そもそも香港は誰のものなのか?
日本的な感覚でいえば「日本は日本国民のもの」だが、中国的な発想によればやはり「香港は中国のもの」になるのだろう。
中国共産党は香港の民主化問題が国際的にクローズアップされると困る問題が国内に蔓延している。
中国西部の「新疆ウイグル自治区」には少数のイスラム教徒が住んでいる。
人口250万人のこの自治区には現在、漢族が半数以上入植して実質的な経済を押さえていると言われている。
日本や世界には伝わってこないが暴動やテロが日常化しているらしい。
収容されたウイグル人は「再教育施設」で中国国家斉唱を強制される。
そして何よりも酷いのがイスラム教徒にタブーとされている豚肉やアルコールを強制していることだ。
中国共産党の立場を守るために信教までも捨てさせようとしているのだ。
その他中国国内にはチベットにも火種をかかえている。
というかそもそもチベット自体が不法な侵略によって得た地域でもある。
そして何よりも中国が香港との連動をより危惧している地域が台湾だ。
台湾に関してはアメリカ側が徹底的に守ると思うが今後、中国の動向に目を離せない。